風でサクラが揺れている
風でサクラが揺れている
リズムをとってうえへしたへ
みぎへひだりへ自由自在
木というものは
どっしりと根をはって
うごかないものだと
いや、うごけないものとばかり
思っていたけれど
サクラの枝のそのさきの
ハナバナはいともかろやかに
青空のもとに舞うように
ふわっふわっと風に乗る
サクラは案外たくましく
花は短期で散るけれど
同じ花ではないけれど
ともあれ今年も満開だ
ソメイヨシノがやばいかもって
人工で育てられた趣の強い品種だから
病気や虫に弱いものだし
クローンみたいに遺伝子の似通った
木々が多いので、ひとつ虫や病気が流行ると
一気にダメになる可能性もある、とは
どこかの情報で知っている
だけども
ひともサクラという種も案外強いもので
1990年代に開発された
神代曙という桜の種類は
病気に強い、品種という
30年後はそのサクラが
ソメイヨシノに変わって咲いているかもしれないと
自然の摂理は変容だ
この地球上で、いのちが始まってからずっと
いのちの根幹にかかわる微生物たちや
コケやシダや
シーラカンスみたいに
古いままあり続ける動植物は陸上には少ない
変容しゆく、自然とともに
ソメイヨシノがダメになるならば
そうでない神代曙を
そうやって、工夫してお世話をさせていただいて
ともにサクラと生きていく
生きものたちと、生きていく
きっと、それがひとびとのお役目