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夜の暗さは、良いもので
暗闇は、暗闇なりに良いもので
どうしても、光に照らされたくなくて
気持ちがとことん落ち込んでいるときは
くらやみのなかにひっそりと
深海魚のように在ることも
ときとしてはやはり必要で
だけども、真っ暗な闇はやっぱり恐い
それもまた、思うことで
夜空に星を、部屋の電気を消しても豆球を
ほんのちょこっとの光はやっぱり
愛しくて
まぶしくて、目がつぶれる光じゃなくていい
夜空のあとの、ほんの朝焼け
一日の終わりを告げる夕暮れ
そんな光は、ときどきとても、美しくて
白々と夜空の明かりのお月さま
秋の夜の、澄んだ空気になじむ光
その夜闇をそっと照らす
柔らかなやさしさが、とても好き
ああ、秋の美しい月のときがやって来た
ちゃんと涼しくなって、空も綺麗になってきた
一年の巡りがきちんと過ぎてゆくことに
いくばくかの安心をするのです