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なみだを忘れられなかった、晴れの日
なみだ、晴れての青空に
泣いていたのを思い出す
ようやく晴れた、だからこそ
泣いていたのを思い出す
お空が泣いていたように
わたしもそのとき泣いていた
どうしようもない悲しみで
死にたいほどの、悲しみで
大丈夫とか、前向きにとか
軽く言われればさらに傷つき
なんにも言わずに。放られたなら
そのほうがいっそ楽なほどの、悲しみ
でんでんむしの、殻のなかには
悲しみが詰まっているという
どのでんでんむしの、殻の中にも
悲しみが詰まっているという
その童話をふと思い出し
誰もが悲しみを背負って
生きているのをふと、思い出す
木陰の涼しいところに座り
さらさらと葉の音を聞く
今日は梅雨と梅雨のあいだの
涙を忘れられなかった、晴れの日。