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リーズ提督5話

 謹慎ということで、船の中に閉じ込められてもう一週間はたったであろうか。

 アロー提督らも王都にたどり着き防戦準備をしている。

 一回だけアロー提督は面会に来た。


「リーズ水軍中夫」


「提督」


「敵前逃亡の訳を聞かせてもらおう」


「………あの艦隊では我々だけでは太刀打ちできないと判断し、戦術的撤退の命を下しました」


「だが信じられぬな。 我々の砲の四倍の射程の大砲を装備したウェンデス艦隊か。 あの国には水軍などなかったはずだが」


「確かに不慣れな節はありました。 艦速といい砲撃の命中精度は素人ではありましたが砲撃の威力は思い出すだけでも寒気がします」


「だがな、水軍を所有していなかったウェンデスが一朝一夕で艦隊を揃えたということも解せぬし、なによりその艦隊を見たのが君たちだけだ。 俺でも俄かに信じられないのに、我が主君らが君を臆病者というのは無理もない話だ」


「ですがこのままだと祖国は滅びます」


「まあ、休養と思ってゆっくりすることだ」


「……………」


 副長は要領がいいから内密裏にことを運ぶことができるからただやられっぱなしという最悪の事態は避けることはできるだろう。


 だが所詮それも微かな抵抗に過ぎない。


 どうしても、あの科学技術差が埋まるとは到底思えない。


 そもそも火計なんかがきくのだろうか。


 ただ黙って故国が滅びるのを指をくわえて見ているよりないのだ。


「もし…」


「…………………誰だ」


「この船の船長、リーズ水軍中夫殿であられますか?」


 白いながしを着た女が立っていた。


「…………忍びか」


「そうです」


「隠密を旨とする忍びがなぜボクに話しかける?」


「…………リーズ水軍中夫殿のお顔を拝顔しておきたかったからです」


「なんのつもりだ?」


「私は多恵と申します。新白衆にいぱくしゅうのものです」


「にい…ぱ?」


「今、あなたが最も警戒なされている国に仕える忍び衆の一派です」


「……………ボクを暗殺にきたか?」


「そのような命令は受けておりません」


「では何しにきたのだ?」


「ですから、お顔を拝顔しに…」


「多恵とかいったな」


「はい」


「暇人だな」


「私は有意義なことだと思っておりますが?」


「ふむ、つまりボクをファラスの兵に殺させる策か…」


 敵国の忍びとこのように会話している所を誰かが密告すれば内通の疑いでボクは弁解の余地もなく斬り殺されるだろう。


「それは面白い策でございますね。 リーズ水軍中夫殿を排除したければその手があるんですね」


「ボクを排除したところで結果は変わらんぞ」


「……………排除……ですか」


 多恵はクスリと笑った。


「私達、新白衆が新たに仕えるであろうお方を排除するほど私は阿呆ではありませんよ?」


「新たに仕える?」


「あなたはウェンデスに降ります。 そして私達の主君になるのです」


「それはないな」


 断言できる。

 ファラスが滅びる時はボクも生きてはいない。

 ボクは腐ってもファラスの軍人だ。

 他国に仕えるなど想像もできん。


「私はここしばらくあなたさまを見ていました。 そしてあなたさまは正解な選択をしておられます」


「正解な選択か。 それがこの謹慎という様だ」


「あなたさまが正解の選択をしたという事実に気付ける裁量を持った方がこの国にいないのですよ」


「ははははは。 ウェンデスにはいると言いたげだな」


「はい、います」


「ボクに故国を裏切らせるのが目的だな。 だけどそれは無理だよ」


「これだけ不遇に遭いながらまだファラスに忠義を貫くと?」


「昔からいうだろう。 忠臣は二君に仕えず……とな。 君ら倭の侍と同じだよ」


「ですがあなたさまは思っているはずです。 仕える主君を間違えたと」


「………」


 思ったことはあるさ。

 だが仕方ないだろう?

 ボクはもうその主君から禄をもらっているんだ。


「意志の強い方ですね。 ますます惚れましたよ」


「忍びの惚れたほどあてにできんよ」


 多恵はクスリと笑った。


「覚えておいてください。 あなたはウェンデスに降り私達の主君になるということを」


「覚えておくよ。 有り得ない話だしな」


「それではまたお会いいたしましょう」


 多恵の姿は気付くとなかった。

 ウェンデスの忍びが王都まで潜入しているのか。

 こちらの戦力も戦略も間違えなくつつぬけなのだろう。

 当然、ボクの火計すら。


「だけどこれしか残ってないんだ…」



 それから間もなくアロー提督がやってきた。


「ウェンデス軍と騎士団が衝突した」


「………結果は?」


「騎士団は敗走した」


「ボクが言った大砲ですか?」


「いや、敵は機械騎兵だった」


「機械騎兵……ですか」


「弓や剣、砲、魔法なにひとつ効かなかったそうだ」


「シャアプル殿は?」


「捕縛された」


「………さようでございましたか」


「そしてウェンデス軍はもうまもなく王都に押し寄せてくるだろう。 それに伴い、お前の謹慎を解く」


「つまり、ボクも戦えと?」


「うむ、戦果を期待しておる」


 そう言ってアローは立ち去っていった。


「多恵」


「はい?」


「やはりいたのか」


「当然ですよ」


「うちの騎士団とお前のとこの機械騎兵とやらが戦ってうちが負けたそうだな」


「はい」


「うちの騎士団はどうやって負けた?」


「ファラス騎士団四千騎と機械騎兵五百騎がポルポ平原で対峙して、正面から突撃してきたファラス騎士団はあっというまに全滅しちゃいました」


「正面から突撃? シャアプル殿は数で押し切ろうとしたのか?」


「はい、そうみたいです」


「愚かな…」


「はい、愚かです。 数に頼った戦法ほど策に嵌まるものです」


 多恵が語るには、突撃してきたファラス騎士団は前持って掘っていた落とし穴、伏兵などにはまり大混乱を起こしているところで機械騎兵に討ち取られていったとの事。


「落とし穴に伏兵……。 兵法の初歩の初歩じゃないか。 そんなことも見抜けなかったというのか、うちの騎士団は」


「そのようですね」


「艦長ー!」


 副長か。

 いくら手のうちを暴かれているといっても敵の忍者の前で火計の打ち合わせはできないな。


「副長、君に紹介したい人物がいる」


 副長が艦長室に入ってくる。


「誰です?」


「ウェンデスの忍び、多恵だ」


「ウェンデスの!?」


「新白衆の多恵と申します。 以後お見知りおきを……」


「艦長、どういうことですか?」


「うん、副長には知っていてほしかった。 多恵の存在を」


「……………」


 副長はボクと多恵を交互に見る。


「艦長、まさか敵国に降った……わけはないですね。 では何故、敵国の忍びと一緒に?」


「忍びの仕事は情報収集にある。 多恵もその口であるだろう」


「そのとおりですよ」


 ケロッと多恵は言う。


「えらく口の軽い忍びですね」


「それは未来の主君の前ですからね」


「は? おっしゃる意味が……」


「リーズ水軍中夫殿はいずれウェンデスに降り私達の新白衆を従えるお方となると私は見込んでおりますので」


「艦長がいずれ敵国に降るだと?」


「はい、間違えなく」


「検討はずれもいいとこだ。 艦長に限ってそんなことはない」


「この乱世、絶対などないですよ」


 多恵はまたクスリと笑う。


「矛盾しているだろ。 さっき絶対はないといいながら艦長は間違えなくだと?」


「それに関しては間違えなくで大丈夫です」


「まあ、妄想もいいが敵国の忍びとあっては生かしておけぬのだ」


 副長は剣を抜いた。


「あら怖い。 私は退散しますか」


 そう言うと、多恵の姿が消えたのであった。


「艦長、どうしますか?」


 火計のことだな。


「うん、間違えなく漏れているだろうね。 あれは」


「しかし今更他に策を用意している暇は…」


「ああ、予定通りでいこう。 正面からあたるよりははるかにマシだ」


「……了解です」


 そう言って副長は艦長室からでていった。


次はいよいよ戦争です。果たして私に戦争シーンなど書けるのやら(´Д`)


正直、結末のわかる戦争シーンなど見てて楽しいのかと小一時間…。

ファラスの情報完全につつぬけだし。


ま、なるようになるかな?(-。-;)


ちなみにファラスには忍びなどいません。シャアプルが忍びなど卑怯者が使うのだと忍びの採用に文句いってそうだし。

その時点で………。

っと


あんまりここで書きすぎるとさらにつまらなくなりそうなので控えます(^-^;


えっ?

もう手遅れ??

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