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43話 回想最終章

 反乱軍の大半が鎮圧された頃、リーズの元に知らせが届いた。


「エルゼ……」


 エルゼからの手紙だった……。

 情けない話、リーズからエルゼに連絡を取る術は持ち合わせておらず、それの確保もままならない状態であった。

 リーズははやる気持ちを抑えて、手紙に目を通した。


「え……」


 そこに書かれていた内容は、リーズがほのかに期待した内容ではなかった。

 ナストリーニに自らの親族の安否を知り、明日ナストリーニに発つ事……。

 ナストリーニ行きの手配を親父がしたこと。

 これまでのリーズに対する感謝の言葉……。


「………………………………」


 リーズは知らずのうちにその手紙をくしゃっと握り締めていた。

 ままごとの様な一時であったとしても、リーズはエルゼと過ごした時を忘れることもできなかった。

 リーズにとって、その瞬間は何においても大事なものであった。


(今まで、ボクは何をしていたんだろう……)


 やろうと思えばできたことだってあった。

 慎重を期すあまり、何も動けなかった。

 いや、はなから勝ち目の薄い戦いに、ついつい後回し、後回しにしてきたツケがここになって一気にぶり返してきた。

 そんなところか……。

 苦い。


 この気持ちをなんと表現すればよいだろう……。

 自分の不甲斐無さ。

 決断を下す遅さにリーズはイラつきを覚える。

 いくらイラついた所で後の祭りということも、リーズは理解していたが、こればかりはどうにもならなかった。

 誰がいったんだったか。

 初恋は実らぬものと……。

 リーズも例外にもれることなく、リーズの初恋は終焉を迎えた。



 一方、その頃エルゼはというと……。

 エンセンツ商会(リーズの父の会社)で、働いていた。

 リーズに会えぬものの、ここで働いていることによって、リーズと繋がっている。

 そんな、甘い幻想を抱えていた。

 いつかはリーズの父が、私たちことを認めてくれる日が来る。

 それだけを信じて……。

 甘いと言われてもしかたないかもしれないが、エルゼにはそれを信じるしかなかったのだ。

 私が諦めた時点で、永久に夢はかなうことはない。

 だからやれるだけやってやる。

 確かに私は、どこの馬の骨か分からない小娘に過ぎないけど、庶民の根性見せてあげる。

 そんな風に密かに燃えていたエルゼの前にリーズの父親がやってくる。


「エルゼちゃん、がんばってるね」


「は、はい……」


「…………………………」


 途端、リーズの父親の顔が曇っていた。

 今にも泣き出しそうな、そんな顔……。


「ど、どうしたんですか?」


「い、いや……。 す、すまない……」


「え?」


「言うべきか迷った……。 私のせいだ……。 だが言わなくてはならない。 君たちを引き裂いたのは紛れも無く私のエゴなのだから……」


 リーズの父親は目を細め、目頭に涙を浮かべた。


「首都で起きた内乱……。 噂には聞いていたかな?」


「え、ええ……」


「リーズが所属するファラス王国水軍も、鎮圧軍として参戦していたらしい」


「え……?」


「我々一般市民には伝わってこないが、この内乱は熾烈を極めていた……。 元々、勝算があるからそこの謀反だ……。 鎮圧軍は大いに苦戦したらしい。 数えきれないほどの戦死者が両軍に出ている……」


「………」


「そして、つい今しがた……、軍より……、リーズの戦死届けがやってきたのだ」


「……え」


「すまぬ……。 私が悪いんだ……。 エルゼちゃんには何と詫びればいいのか言葉も見つからない……」


「う、うそ……ですよね?」


「く……」


 リーズの父親は目を真っ赤にして、エルゼの両肩に手を置いた。


「すまぬ……」


「わ、私は……、信じません」


「信じたくないのは私だって一緒だ……。 あのリーズがもう、私の前に帰ってこないんだ……。 何が国家貢献度だ。 息子を失って気づくとは、私も本当に愚かだ……」


 エルゼは呆然とする。

 リーズの父親は、ふところから一枚の紙を取り出した。


「元々、これは体よくエルゼちゃんを追い出すために調べさせていたものだったが、まさかこういう形でこれを使うことになろうとは思いもしなかった……」


「………」


「私のできる、唯一の償いになろうとは……。 まさに皮肉だよ……」


 リーズの父親はその紙を、エルゼに渡す。


「これは……」


「君のお母様の妹が、ナストリーニに嫁いでいたことは知っていたかい?」


 エルゼは首を横に振った。

 そんな話は初耳だった。


「駆け落ち同然だったらしい……。 ナストリーニの騎士に嫁いで行ったのだよ」


「…………」


「家族を失い、リーズまでも失わせてしまった私ができることは、君の血の繋がった方の下に君を無事送り届けることだと思っている……。 君は天涯孤独ではない……。 君には血の繋がった家族がいるんだ」


 エルゼはリーズを失ったショックで何も考えられなかった。


「私に出来る償いを……、させてくれ。 そうでないと、リーズの奴に申し訳が……」


 途中まで言って、リーズの父は目頭を押さえた。

 エルゼは、そっと頷いたのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・終わった。やっと、回想が終わりました。

ひきまくった伏線を徹底的に無視してしまったり、なんやら話のつじつまがあわなかったり・・・・・・。

うわ、ボロボロ・・・。

要反省ですね。



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