リーズ提督25話
ボクらは帝都にあれから何も問題なく到着していた。
ボクらは帝都の宿に今夜は宿泊をし、明日の会見に望もうとしている矢先、多恵が部屋に訪れて来た。
「どうしたんだ?」
「ウェンデス進行軍の近況と、ナストリーニについて、部下より情報が入りましたので報告に参りました」
「うん、気になっていたところだ。 早速報告してくれ……」
陸軍3師団は好調に攻略を進めているという報告を聞く反面、厄介な情報を聞き耳を疑った。
「悪い、もう一度行ってくれ……」
「ナストリーニ・シルラビア連合軍は、ヌーダン族の三分の二を平定しました。 残るヌーダン族プドナ酋長の部族のみです」
「早過ぎる……」
あれだけ広大な領土を持ち、疾風と呼ばれる騎馬軍団を持つヌーダン族が、たった僅かな期間で平定された。
「あの疾風をわずかな期間で倒した……?」
多恵は無言で頷く。
「どのように?」
「航空騎士団と呼ばれる騎士団が、制空権を確保。 上襲戦術と呼ばれる戦法で騎馬軍団を次々と撃破していきました」
「航空……騎士団……だと?」
「ドラゴンを調伏し、使役させた騎士が主体となった、騎士団です」
「ドラゴン!?」
ドラゴンは最強の種族。
誇り高く、人と同等の知能を持つと言われる巨大な爬虫類生物。
自らを倒したものにのみ、忠誠を誓う孤高の部族だ。
調伏ということは、倒したということである。
ドラゴンの吐く炎は、砦を吹っ飛ばす威力があり、自らの皮膚は鋼鉄より硬いというのはあまりにも有名だ。
「…………」
そのドラゴンを支配した集団が……、敵国に存在するという。
「何体、ドラゴンは確認されている?」
多恵はボクの質問に躊躇いを見せた。
「報告では、100体」
「……100」
あのドラゴンを支配した奴が単純に100人いるということか……。
「さらに……」
「……なんだ?」
「今後、さらに増える見通しです」
「!」
なんだと……。
「幼竜の時期に調伏しているのです」
そういうカラクリか。
幼竜ならば確かに成人竜に比べ遥かに倒しやすい。
しかしまさかドラゴンを軍事転用するとは……。
考えるなら何人もの指導者はしているだろう。
だが、実行となるとそう簡単に行かない。
幼竜の側には母竜がいるからである。
子を守るため、最大の力を発揮する母は自然界の常識……。
どうやって幼竜を調伏する?
どうやってその数の幼竜を集めるのか?
「調べた情報によると、竜の王がナストリーニ国王の大義を認め、積極的に竜を提供しているのです」
「大義?」
「百邪を討つ……。 世界を平和にするという陳腐な誓約です」
「陳腐だなぁ」
「百邪に我がウェンデスも含まれているのですが」
「……まあ、そうかもな」
ウェンデスは侵略を繰り返している。
ついでにいえば陛下は父殺し、弟殺しといったとこか。
陛下は奴らから見たら悪以外何者でもないからな。
ウェンデスにも侵略する理由はある。
まずは国力の増加だ。
ウェンデスに来てわかること……。
まず国民の数に対して圧倒的に農地が足りない。
開墾出来る土地も少量でどうあがいても国民を養えない。
今までは輸入に頼っていたのだが、他国、ファラスを含めた近隣諸国に言わせれば、陛下の父殺しの蛮行に制裁で輸入制限を実施。
結果、ウェンデスの民を飢えから守る為の侵略になっている。
ファラスがウェンデスに攻められたのは自業自得に当たる。
また、ボクを含めた国民は、ファラスがウェンデスに経済封鎖を行った事実をひたかくしにしていた。
元々ファラスの民はウェンデスとは古くから交流があり、親ウェンデス派の民は多くいる。
ウェンデスの経済封鎖を快く思わない者の反乱を防ぐために隠したものだと推察される。
ボクら軍人が知らなかったのは、まさに軍部からの反対を押さえ込むためである。
内政、外交において軍人の意見はいらないというわけだ。
「報告、ご苦労様」
「御意」
ボクは月を見上げる。
何がなんでもこの同盟を成さなければウェンデスに未来はない。
ナストリーニ王国は強大すぎる。
東に構っている暇など皆無。
ウェンデスには科学という特異な力はあるが、それにのみ頼っては、勝算は望めないだろう。
明日のヴィンセント帝王との謁見はボクが予想していたより遥かに重要な意味を持つ。
最悪ウェンデスの興亡に関わる。
ウェンデスは決して弱い国ではない。
だが、周りが強大すぎる。
もはや一つの失策も許されない世情だ。
「なあ、多恵……」
「はい?」
「なぜボクを盟主として仰いだ?」
「提督を初見しました時、他の人にはない何かがある。 ……そうお見受けいたしましたから」
「他の人にはないなにかか……。 ボクにそんなものはあるのかな……」
「ございます」
多恵は断言した。
ボクは驚いて多恵を見返す。
「私は提督に仕え、提督を改めて敬意を評しています。 提督には何かある。 そう思い、ウェンデスにお連れいたしました。 それは間違えではなかった。 そう自負いたします」
「……買いかぶりすぎだ。 ボクは凡人だということはわきまえている」
「凡人が一国を動かすこと、縁も馴染みもない一艦を瞬時に掌握すること、絶望的状況にありながら敵旗艦を沈めることなどできません。 提督の欠点は自分を知らない事ですね」
多恵はニコニコと答える。
「それに、忍び衆が特定の国に仕える事は過去の歴史で多々ありましたが、一人の軍人に仕えたことは有史以来のことなんですよ……」
「そうなのか?」
「提督は私たち新白衆の希望なんです。 しっかりしてください」
「希望……。重いこというな」
「提督って変な人ですね」
「変?」
「戦場や策謀の場では大胆不敵なのに、こういうどうでもいいときは小心なんですから」
「どうでもいいことなのか?」
「はい、いくら提督が思案あぐねていても私たち新白衆は提督に着いていきますからね。 これは覆らない事実です」
「………」
ボクは自然と微笑してしまう。
なによりも新白衆の忠誠がありがたかった。
「多恵、すまんな。 そしてありがとう」
多恵は、ニッコリと笑った。
明日はウェンデスにとって命運をかけた大事な会談だ。
弱気になるわけにはいかない。
ありがとう、多恵……。
うーん( ̄▽ ̄;)
リアルが慌ただしくなって参りました。
なっかなか、執筆に時間をかけれませんな。
移動がバイクなもので信号停車中にカチカチ打ってたらクラクションの嵐なのは目に見えてますし、警察に目をつけられる危険もありますしね。
(そもそもその考えおかしいだろ…)
まあ、時間を見つけ、カチカチ執筆していきますよ。
だからといってはなんですが「完結宣言!」します。
これはものを書く以上、絶対にします。
放置はしません、約束致します。
というか、最終的に何話になってしまうんだろう?
まだ正直…、序盤もいいとこなんですよね。
主人公視点形式書体にするんじゃなかったあああああ!
戦争描写が異常に難しいいいいいいいい!
と愚痴ったところで、やってしまったもんは仕方ありません。
でも緊迫感を演出するさい、視点描写じゃなくなる「かも」しれませんが、ご容赦を m(_ _)m
P.S
評価、感想は非常に狂喜乱舞しております。ありがとうございます。このような稚拙な文章に。もったいなくも感謝感激でございます。