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サレア王女16話

なんとなく勢いで書きました。

例によって、読み飛ばしても本編と繋がります。

 なんだろう、この空気は。

 朝早く、私は目が覚めた。

 まだ、太陽もでていないそんな時刻。

 いつもエミリに起こしてもらうまで起きない私がこんな時間に目を覚ました。

 嫌な予感がする。

 ただ漠然とそう思った。

 私は起き上がり、着替える。


 コツコツコツコツ…。


 誰かの足音が廊下からする。


「……には、…………ぬよう」


 よく知った声。

 フメレオン兄上が私の部屋の前の衛兵に何か話しているみたいだ。

 こんな時間に兄上が私の部屋付き衛兵に何の用が?

 着替え終わった私は、自室の扉を開けた。

 そこには兄上と衛兵のモスコがいた。

 私がいきなり扉を開けたのに驚いた二人は、私を注視する。


「おはよう。今日はやけに早いな」


 フメレオン兄上は、私にだけいつも向けてくれる笑顔で言った。


「兄上こそ、こんな時間に何の用ですか?」


「うん……、まあ、な」


 煮え切らない返答を返す兄上。

 兄上は、鼻の頭を触る。

 私は知っている。

 兄上が鼻の頭を触る時はとんでもないことを隠している時だということを…。

 普段、政務の時はその癖を意識しているのか出さないけど、私との会話の時は稀にやる。


「兄上、何を隠しているの?」


「………いや。 何も」


 答えてくれるわけがなかった。


「サレア。何があってもこの部屋からでちゃいけないよ」


 兄上は、私と話す時はただのお兄さんの口調になる。

 いつも家臣たちにする尊大な口調ではない。

 私はこの兄上は好きだ。

 例え、父様を殺したのが兄上でも。


「出てはいけないって、何があるんですか?」


 そう尋ねると、兄上は困った顔をする。


「モスコ、サレアを頼むぞ」


「はい、陛下。このモスコ、命に替えましても」


 兄上はモスコの肩をポンポンと二回叩き、私の質問に答えず去っていった。


「モスコ?」


「はい、なんでしょう」


「あなたは何を知っているの?」


「何も。 ただ……」


「ただ?」


「違和感は感じます。 今日、何かあるのは確実でしょう」


「モスコは、何も聞かされてないの?」


「私はただの姫様付きの衛兵です」


「何も聞かされてないのね?」


 私はため息をつく。


「私の憶測でありますが」


「うん?」


「…………いえ、何でもありません。 忘れてください」


「モスコ。 憶測でいい。 話して」


 私のこの不安を消して。


「……………あくまで私の憶測でございますよ。 なんだか、今日に限ってフメロン王弟殿下派の兵たちがやけに多く階下を歩いております。 何かフメロン王弟殿下がやろうとしているのでは……と、勝手に推察しております」


「小兄の?」


「はい。 階下を歩き回っております」


「兄上と小兄……」


 二人の仲たがいは有名な話だ。

 でも私にとって二人はとても優しい兄なのだ。

 私は私なりに二人の仲を取り持とうと奔放している。

 お互いが空いている時間を見計らって、花見をしたり、乗馬に誘ったり。

 二人は複雑な顔をしていたけれど、兄弟で争うのは悲しすぎるから。


「姫様」


「え……、あ…、なに?」


「姫様は、今日、何があろうとこの部屋を出ぬようにとの陛下からのお達しです。 努々、お忘れなきよう」


「モスコ……」


「何を言いたいのか、私にはわかりますが、今日だけは何がなんでもこの部屋にいていただきます」


 ダメか。

 気付くと朝日が昇っていた。

 いつもなら、気にも留めない朝日を私は恨めしく見ていた。

 朝がきてしまった。

 何か嫌なことが起こるのはわかっているのに何もできずただ何かが終わるまで待っているしかないという。

 私は部屋に戻り、窓から外を見る。

 城下の朝市はいつものとおり、活気溢れている。

 海は朝日を浴びてキラキラと光っていた。

 ふと、違和感に気付く。

 いつもより、洋上にいる軍艦が多いのだ。

 全て、ウェンデス国旗なのだが、やはり違和感を感じずにいられない。

 海軍提督、フェン卿。

 晩餐会などあるたびにいつも私の気を露骨に引こうとするオヤジ。

 あのオヤジのセンスのない服をみるたびに私はウンザリしていた。

 ヤツはこともあろうに、父上に私の降嫁を申し出たことがあるそうだ。

 父上は、まだ早いといってその場は断ったが。

 ヤツは私個人ではなく、王家の姫が欲しいのだ。

 そしたらヤツは王家と姻戚関係を結べ、今以上の実権を握ることができる。

 その魂胆が私のような小娘にすら見抜かれる程度の男。

 家柄は確か、ウェンデス創設以来という恩顧の家。

 貴族たちの中で、最も権力のある男。

 王家もムゲに扱えず困った存在だ。

 そんな事を思っていたらエミリが入って来た。


「姫様、はやいですね」


 エミリは、感嘆の表情を浮かべ


「姫様も、私の手を借りずとも起きることができたのでございますね。 エミリは嬉しゅうございます」


 エミリは私付きの侍女だ。


 歳は私より5くらい上なので、侍女というより仲の良いお姉ちゃんみたいな人だ。


「エミリ、おはよ」


「おはようございます」


 エミリはニコニコしていた。


「エミリ、下はどうだった?」


「下……、でございますか?」


 エミリはキョトンとしていた。


「なんかいつもと変わったこととか……」


「そうですねぇ。 今日は評定二日目ですからいつもより慌ただしいですがこれといって……」


「……そう」


「あ、そういえば」


「ん?」


「姫様、昨日エミリが帰った後何か悪いことしました?」


「なんで?」


「姫様、今日室内から出るの禁止だそうですね」


「……………」


 昨日はリーズ殿とチューイくんと城下に行ったけど……。

 別に悪い事ではない…………と思う。 多分。


「皆さん、険しい顔をされていましたよ。 何をしでかしたか知りませんが反省文、何枚になるのでしょうかね?」


 エミリはクスクス笑って配膳車から私の朝食を机に並べている。

 温かいスープを皿に注ぎながらエミリは


「そういえば、私も姫様の側から離れないように姫様をよく監視しておくこと…、だそうでございます」


「………誰から言われたの?」


「私は侍女頭様からそうお伺いしましたが」


 エミリはパンにバターを塗っている。


「姫様、何をしでかしたんですか?」


 しでかしたって……。

 エミリは基本的には優秀な侍女なのだが、天然なところがある。

 本人は全く自覚していないから余計質が悪い。

 さらに私をからかって遊ぶ傾向もある。


「エミリ、あなたね」


「そういえば姫様。 今日のお稽古は一切合切中止だそうですよ」


「一切合切……」


「はい、一切合切……」


 一時はエミリの天然パワーで小さくなっていた不安がまた再燃してきた。


「理由は聞いた?」


 エミリはう〜んと唸り


「よくわからないんですけど……、今日はそれどころではないと」


 ああ……。

 間違えない。

 この嫌な予感は的中するのだろう。

 多分、私の知らない所で、私の想像を超えるほどの嫌なことが今日起きる。

 そして、私は何も出来ずに終わるのだという予感が………。

なんでこんなのを書いたんだろうと思いながらそれでもせっかく書いたのだからもったいないから投稿しちまえという安易な理由で投稿です。


笑って見逃してやってください。( ̄▽ ̄;)



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