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ノーベル賞級の発明品でクールな後輩を毎日いじめちゃう変態部長が可愛すぎる  作者: そばうどん


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8/15

全部見られた

日曜日。

部活のない、珍しく静かな休日。

私は自室のベッドに寝転がり、スマホを片手にぼんやりと天井を見上げていた。

カーテンの隙間から差し込む午後の陽光が、部屋の白い壁に細長い影を落としている。エアコンの低い唸り音だけが、静寂を埋めていた。

(……今日は、部室に行かなくていい)

そう思うだけで、少しだけ胸が軽くなる。

陽菜の笑顔も、陽葵のキラキラした目も、あの変態発明品の記憶も、今日は遠く感じる。

でも、どこかで、「今日は何も起こらない」という安心が、逆に物足りなくもあった。

そんなことを考えていると、スマホがぶるっと震えた。

画面を見ると、陽菜からのメッセージ。

【陽菜】涼香ちゃん、今からお家行くね♪よろしくー!

「……は?」

意味がわからない。

【涼香】何?来ないで

既読がつくのは早かった。

【陽菜】もう家出たよー!15分くらいで着くと思う!楽しみにしててね♡

「……嘘でしょ」

私は慌てて起き上がり、部屋を見回す。

散らかった参考書。

床に放り投げられた制服。

そして――

(……最悪)

私は今、部屋着姿だ。

ピンクのフリル付きキャミソールに、短めのショートパンツ。

裾に小さなリボンがついていて、全体的に甘ったるいデザイン。

中学生の頃に買ったまま、なぜか捨てられずに残っていた、割に合わないくらい可愛らしいやつ。

普段は絶対に人に見せない。

家族ですら見せない。

なのに、今から陽菜が来る?

(……ドア開けなきゃいいだけ)

そう思って、私はベッドに潜り込んだ。

でも、心臓がどくどくと鳴っている。

(来ないで……来ないで……)

10分後。

ピンポーン。

玄関のチャイムが鳴った。

私は布団の中で固まる。

もう一度、ピンポーン、ピンポーン。

連続で鳴る。

「……っ」

仕方なく、私は布団を跳ね除けて立ち上がった。

(無視したら、近所迷惑になるかも……)

自分に言い訳しながら、玄関に向かう。

ドアを開けると、そこにいたのは、予想通り、陽菜だった。

私服姿の陽菜。

白いブラウスにデニムのスカート。

いつもの白衣がない分、妙に普通の女子高生に見える。

「やっと開けてくれたー!涼香ちゃん、遅いよー」

陽菜はにこにこしながら、勝手に靴を脱いで上がってくる。

私はドアの陰に隠れるようにして、声を低くする。

「……帰ってください」

「えー、せっかく来たのに?」

陽菜は私の姿を上から下まで眺めて、目を輝かせた。

「わあ……!涼香ちゃんの部屋着、めっちゃ可愛い!フリルついてるし、リボンもついてるし!こんな甘々系、似合うんだ……♡」

「……っ!」

顔が一瞬で熱くなる。

思い出した。

今、自分はあのピンクのフリル部屋着だということ。

陽菜の視線が、キャミソールの胸元や、短いパンツの裾に注がれている。

「や……見ないでください……!」

私は両腕で胸を隠し、後ずさる。

陽菜はくすくす笑いながら、さらに家の中へ進む。

「いいじゃん、かわいいんだから!あ、涼香ちゃんの部屋ってこっち?」

「待って入らないで!」

私は慌てて陽菜の腕を掴もうとするが、陽菜はひょいっと身をかわして、私の部屋のドアを開けてしまった。

「わー!涼香ちゃんの部屋だ!」

陽菜は嬉しそうに中へ飛び込む。

私は追いかけるように部屋に入る。

「出てってください……!勝手に入らないで!」

でも、もう遅い。

陽菜は私の机の上に広げられた参考書を眺め、本棚を指でなぞり、

クローゼットの扉をぱかっと開け始める。

「へえ、教科書こんなに並べてるんだ。勤勉だね、涼香ちゃん」

「触らないで……!」

陽菜は無視して、ベッドの下に目を向けた。

「……あれ?何か見える」

「やっ!」

私は慌ててベッドに飛び乗り、陽菜を押し退けようとする。

でも、陽菜はすでに手を伸ばしていた。

引き出されたのは――

黒いビニール袋に入った、

明らかに怪しい形の物体。

「……これ、電マじゃん」

陽菜がにやにやしながら袋を開ける。

「しかも、かなり使い込んでる感じ?コードがよれよれだよ、涼香ちゃん」

「……っ!ち、違う!それは……それは、肩こりにいいって聞いて……!肩に当てるだけだから!」

私は必死に言い訳を並べる。

陽菜は爆笑しながら、電マを手に持ってスイッチを入れる。

ブィィン……

低い振動音が部屋に響く。

「肩こり用って、こんなに強力なの?嘘だー!涼香ちゃん、絶対オナニー用でしょ!」

「……う、うるさい……!」

顔が熱い。

耳まで熱い。

陽菜は電マをベッドに置いて、今度は本棚の奥に手を伸ばす。

「次は何かなー?」

引き出されたのは、古いアルバム。

「……やめて!それ、見ないで!」

陽菜は無視してページをめくる。

「わあ、涼香ちゃんの小学生時代!ツインテール!めっちゃ可愛い!」

「やだ……!昔の写真なんて……!」

ページをめくるたび、幼い頃の自分が現れる。

運動会の写真。

家族旅行の写真。

そして――

「……あ、これ!水着!涼香ちゃん、意外とスタイルいいんだね!」

「……っ!」

私はアルバムを奪い取ろうとするが、陽菜は高く掲げて逃げる。

「もうちょっと見せてよー!この頃からもうクールビューティーだ!」

「返して……!」

私は陽菜に飛びついて、必死にアルバムを取り返そうとする。

陽菜は笑いながら、私の体を抱きしめるようにして、さらにページをめくる。

「可愛い可愛い!涼香ちゃんの全部、見ちゃうんだから!」

「……もう、嫌……」

私は力が抜けて、陽菜の胸に顔を埋めてしまった。

陽菜は私の背中を優しく撫でる。

「ごめんね、涼香ちゃん。でも……こうやって、涼香ちゃんの全部を知りたくなるんだ」

「……変態」

「うん。変態だよ」

陽菜はアルバムを閉じて、私の頭をそっと撫で続ける。

「でもさ、こんな可愛い部屋着着て、こんな可愛い昔の写真持ってて、ベッドの下に電マ隠してて……全部、涼香ちゃんの大事な一部でしょ?」

「……恥ずかしいだけです」

「恥ずかしい涼香ちゃんも、大好きだよ」

陽菜の声が、耳元で甘く響く。

私は顔を上げられず、ただ陽菜の胸に顔を押し付けた。

(……なんで、こんな人に、全部見られちゃうんだろう)

悔しい。

情けない。

でも、どこかで、陽菜に全部見られたことが、少しだけ、安心するような、

変な感覚があった。

陽菜は私の髪を指で梳きながら、

小さく呟く。

「また来ても、いい?」

「……勝手に入らないで」

「約束できないかも」

陽菜は笑う。

私はため息をついて、ようやく体を離した。

「……もう、帰ってください」

陽菜は少し名残惜しそうに立ち上がり、鞄を肩にかける。

「うん。今日は楽しかったよ、涼香ちゃん。また明日、部室でね!」

「……明日は、行きません」

「えー、待ってるよ♪」

陽菜は手を振って、部屋を出て行った。

玄関のドアが閉まる音が響く。

私はベッドに崩れ落ち、枕に顔を埋めた。

(……全部、見られた)

電マ。

昔の写真。

フリル部屋着。

私の隠していた部分が、陽菜の目に焼き付いてしまった。

恥ずかしくて、悔しくて、涙が出そうになる。

(……最悪)

私はそう呟きながら、

でも、明日も部室に行く予感が、もう止められなかった。

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