限定語彙薬・にゃんVer
遅くなってすいません!
私用でまったく進められませんでした!
放課後の化学準備室は、いつもより少し息苦しい空気に包まれていた。
ドアを開けると、陽菜、陽葵、みゆき先輩の三人が、机を囲んで待っていた。
三人の視線が、一斉に私に集まる。
陽菜はいつもの弾んだ笑顔で手を振る。
「涼香ちゃん、おっそーい!今日は特別メニューだよ♪」
陽葵が目をキラキラさせて、小さな試験管を掲げる。
「涼香先輩、今日こそは……私達の自信作ですよ!」
みゆき先輩は穏やかに微笑みながら、静かに言った。
「霧島さん、今日は……少しだけ、我慢してね」
私は無表情のまま、一歩後ずさった。
「……また、何かする気ですね」
陽菜が試験管を私の唇の近くまで持ってくる。
中には、透明に近い淡い水色の液体。
ほのかにミントのような、清涼感のある匂いが漂う。
「これね、『限定語彙薬・にゃんVer.』!飲んだ瞬間から三十分間、どんな質問をされても、どんな気持ちを伝えても、口から出る言葉は全部『にゃん』しか言えなくなっちゃうの!」
「……絶対に飲みません」
私は即座に拒否した。
でも、陽菜はにやりと笑って、試験管を傾ける。
「もう遅いよー!」
液体が、唇に触れた瞬間、反射的に口を開いてしまい、ごくん、と喉を滑り落ちた。
体が、急に軽くなるような感覚。
そして――
「……にゃん?」
自分の声が、信じられないほど高くて甘い。
陽菜が目を輝かせる。
「始まった!じゃあ、早速実験開始ね!」
陽菜は私の両肩を掴んで、実験台の前に立たせる。
陽葵が私の前にしゃがみ込んで、上目遣いに見上げる。
「涼香先輩……今、どんな気持ち?」
私は、必死に言葉を探す。
(……恥ずかしい。悔しい。やめてほしい)
でも、口から出たのは――
「にゃん」
陽葵が手を叩いて喜ぶ。
「わあ、本当に『にゃん』しか言えない!可愛い!」
みゆき先輩が、静かに近づいてきて、私の頬に指を添える。
「霧島さん……本当は今、どんなことを思ってるのかしら?」
私は、涙目で首を振る。
(……触らないで。嫌だ)
でも、声は――
「にゃん……」
みゆき先輩の指が、私の頬をゆっくり撫で下ろす。
「ふふ……本当は嫌がってるのね。でも、声が可愛すぎて、止まらなくなるわ」
陽菜が私の背後に回り込み、白衣の袖越しに、私の腰を抱き寄せる。
「じゃあ、次はこれ!涼香ちゃん、私のこと、どう思ってる?」
私は必死に抵抗しようとする。
(……変態。大嫌い。離れて)
でも、出てきたのは――
「にゃん……にゃん……」
陽菜が耳元で囁く。
「ふふ、『大好き』って言ってるみたいだね?嬉しいなあ♡」
陽菜の腕が、私の腰をぎゅっと締め上げる。
体が密着して、陽菜の体温が伝わってくる。
私は体をよじって逃げようとするが、陽菜の力が意外と強い。
「にゃん!にゃんにゃん!」
(……離して!熱い……恥ずかしい……)
陽葵が私の前に跪いて、スカートの裾をそっとめくり上げる。
「涼香先輩……ここ、触ってもいい?」
陽葵の小さな指が、太ももの内側を、
優しく撫で始める。
「にゃん……!」
体がビクンと跳ねる。
陽葵の指は、ゆっくりと上へ上へと這い上がる。
「涼香先輩、気持ちいい?」
私は必死に首を振る。
(……だめ……そこは……)
でも、声は――
「にゃん……にゃん……」
陽葵がくすくす笑う。
「『もっと』って言ってるみたい!」
陽葵の指が、パンツの縁をなぞる。
私は体を震わせて、陽菜の胸に背中を預ける。
陽菜が私の耳たぶを、軽く噛む。
「にゃあっ……!」
陽菜の声が、甘く響く。
「涼香ちゃんの耳、敏感なんだね。もっと鳴いて?」
みゆき先輩が、私の前に立って、ブラウスをゆっくりとボタンを外し始める。
「霧島さん……ここも、見せてくれる?」
ブラウスがはだけて、ブラジャーが露わになる。
みゆき先輩の指が、胸の谷間を、優しくなぞる。
「にゃ……にゃう……」
私は体をよじるが、陽菜に後ろから抱きしめられて、
逃げられない。
陽菜が私の首筋に唇を寄せて、軽く吸う。
「にゃああ……!」
体が熱くなる。
陽葵の指が、パンツの上から、敏感な部分を、優しく押す。
「涼香先輩、ここ、濡れてるよ?『気持ちいい』って言ってるみたい」
私は涙を浮かべて、必死に首を振る。
(……違う……やめて……恥ずかしい……)
でも、声は――
「にゃん……にゃんにゃん……」
三人の手が、同時に私を触り続ける。
陽菜の唇が首筋を這う。
みゆき先輩の指が胸を優しく揉む。
陽葵の指が、下着の上から円を描く。
体が、どんどん熱くなって、
頭がぼうっとなる。
「にゃ……にゃう……にゃああ……!」
涙がぽろぽろと落ちる。
陽菜が耳元で囁く。
「涼香ちゃん、可愛すぎる……もっと、鳴いて?」
私は、もう抵抗する力もなくなって、陽菜の胸に体を預けた。
三十分が、永遠のように感じた。
やがて、薬の効果が切れる。
声が、ようやく普通に戻る。
「……っ、ひどい……」
私は涙声で呟く。
陽菜は私の頭を優しく撫でる。
「ごめんね、涼香ちゃん。でも、今日の涼香ちゃん、ほんとに綺麗だったよ」
陽葵が私の手を握る。
「涼香先輩……ごめんなさい。でも、すっごく可愛かったです……」
みゆき先輩は、私の頬の涙を指で拭ってくれる。
「霧島さん……辛かったわね。でも、あなたのそんな顔も、私たちは……大切に思ってるの」
私は、三人を見回して、小さく息を吐いた。
「……もう、許さない」
でも、声に力がない。
陽菜が私の額に、軽くキスをする。
「うん。次も、許してね」
私は、ただ、涙を拭うことしかできなかった。
準備室の窓から、夕陽が赤く差し込んでいる。
三人の温もりが、まだ体に残っている。
(……こんな部活、いつまで続くんだろう)
でも、どこかで、この時間が、完全に嫌いじゃない自分がいることも、分かっていた。
そろそろちゃんと逆転させます




