私たちの無人島サバイバルはこれからだ
パイパイヤ島から少し離れた辺りに位置する名もなき小島。
そこに二人の男女が上陸する。
「って、ちょっと待て!? なんだここは!?」
「見ての通り、島です。行き先が島であることくらい、船に乗った時点で気づいていたでしょう?」
「いや、私はてっきりその、この前の――」
「パイパイヤ島ですか? 天下一舞踏会は年一回の開催なので今年はもう――ってそういえば会長、いつになく乗り気で付いてきてくれましたが、もしかして――」
「ち、違うぞ!? 私は決してハマったりなどしていないぞ!? ただその、なんであっても負けるのは一族の血が許さないというか……」
どうやら鶴見は、一か月ほど前にパイパイヤ島で開催された天下一舞踏会に再び参加すると勘違いしたようだ。
初参加で予選を突破し本選三回戦まで勝ち進んだのは間違いなく大健闘なのだが、鶴見家は弱肉強食を家訓としていることもあり、負けることに対して非常に敏感なのである。
「成程、鶴見家の血が騒ぐということですか。そういうことであれば安心してください。私はいつでも会長の愛を受け止める覚悟ができています。お望みとあれば、いつでも踏んでいただいて構いません!」
「だから違うと言っているだろう!? ……し、しかし、それなら今回は一体何の目的で?」
二人が上陸した島は、明らかに人の手の入っていない無人島だ。
橘であればお宝探しなどと言いだしてもおかしくないのだが、服装は探索などには不向きな軽装である。
そして鶴見も汚れて問題無い服としか指定されていなかったため、同じく軽装――というか学校指定のジャージを着てきていた。
「今回行われるのは無人島サバイバルです」
「無人島、サバイバル……?」
「はい。条件としてはこの島で2週間生き残れば賞金が貰えるというシンプルな内容ですが、参加者は一つだけ持ち込みが許されているのです」
「…………まさか、それが私だと?」
「Exactly」
返答を聞いた瞬間、鶴見は眉間を押さえて悲痛な顔つきになる。
「私は、物ではなく人なんだが?」
「ルール上問題ありません。むしろ通常であれば不利と言えるでしょう。しかし、会長であればその不利を覆せると信じております」
「そういう問題ではないだろう!? 私は家に何も伝えていないのだが!?」
「安心してください。学校から2週間の合宿に参加すると連絡してもらっています。さあ会長! 私たちの戦いはこれからですよ!」
「そんな馬鹿なーーーーーっ!?」
無人島で男女二人のサバイバル生活、何も起こらないハズもなく――
2週間後には二人の手により立派なバンガローが建築されていたという……




