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北へ

マズー霊石以外にも情報交換をして、僕とリトさんは別れた。

僕はソリーサさんたちの所へ、リトさんはヌイさんがいるカサオーへ向かう。

リトさんは「俺らは先にホロッサに行っている」と言っていた。

こちらは複数人で移動しているから単独のリトさんの方が早いのはわかるけれど、カサオーに寄っても先に着けるのはなぜだろう?冒険者しか知らない道とかがあるのだろうか?


僕が宿屋まで戻ってくると、ちょうどウィルコたちも戻ってきたところであった。


「おい、お前どこいっていたんだ?」


一番後ろを歩いていたウルスさんが先頭に出てきてた。


「ちょっと散歩に出ただけですよ。ソリーサさんは宿屋にいますし、少しでも体を動かさないと」


実際はほとんど歩いていないが、ずっと馬車移動をしているので運動が必要なのは事実である。


「そうですよウルス。別にソリーサの面倒をお願いしたわけではないですし、そもそもソリーサには不要ではないですか」


「まぁ、そうですけれど」


ウィルコさんがさり気なく手助けしてくれる。

そして僕の目をじっと見つけてきた。

なんとなく、話はできましたか?と聞かれた気がしたので、僕は小さく頷く。

それを見てウィルコさんは、それ以上は何も言わずに宿屋へと入っていく。


その後をいつも通り不服そうにウルスさんが付いていき、僕はウルスさんと並びたくなくて少し時間を空けてから入っていった。


その後は特に何も無かった。

自分の部屋で適当に休みをとり、みんなで食事をして、あとは眠るだけ。

ウィルコさんが結果を聞きに部屋を訪れてくるかもしれないと思い、しばらく椅子に座って待っていたが、来る気配は無かった。


勇者の葬儀に辿り着くまでにできることは、もうほとんど無いだろう。

あと一回休憩で町に寄ると言われたが、その周辺に勇者と所縁がある場所は無いし、関連人物がいるという情報も無い。

せいぜいウルスさんから勇者のことを聞くくらいになるが、話を聞いてくれるかわからない上に、どうやら結婚前に話したことがあるくらいらしい。

奥さんの兄が勇者だなんて絶対に思うところがあるはずだが、欲しい情報はもう旅を始めた頃とは違ってきている。


…いや、個人の曖昧な感想であってももしかしたら僕には必要なものかもしれない。

自分が勇者に盲目的であることは自覚しているが、自覚しているだけでは意味が無いと思わされた旅だった。

だから、自分に足りない部分は他の人から補ってもらわないといけない。

それがどんなに聞きにくくても、避けて通ってはいられない。




そして三日後、僕たちは北都市ホロッサに到着した。

まだ雪が降り始める季節ではないので不自由は無いが、寒さを感じるようになってきた。

南都市ワナキーオや西都市カサオーとは異なり、ゆったりとした時間が都市に流れている。

寒さを凌ぐ熱い壁、雪が積もりにくいように工夫された道路。見慣れない道具が店に並んでいたりと、他の都市とは雰囲気ががらりと変わる。

魔術師が多くいる都市ではあるが、せいぜい全体の一割。行きかう人々は普通であった。


都市に着いても僕らの馬車は止まることなく、どんどん奥へと進んでいく。

都市の代表である魔法学園や研究所も通り越して、人気の無い方へと進んでいく。

森に入っているのか?と思わせてきたところで、古めかしい豪邸の前で馬車が止まった。


ここはウィルコさんの親戚の家らしく、気の優しそうな老夫婦が出迎えてくれた。

何人か使用人もいて、その中にはソリーサさんを知っている人もいて挨拶もほどほどに仲良く中へと入っていった。


「シーノさんも遠慮せずに休んでいってください」


ウィルコさんに案内されて中へと入っていく。

家の中も全体的に年代を感じるものではあったが、綺麗に手入れをされていて思わず見渡してしまう。

いったいどういう人たちなのだろう?ここに家があるということは、やはり魔法関連で財を築いたということだろうか?


僕は一人用の客室に案内してもらった。普通の宿屋よりも良い部屋かもしれない。

少し肌寒さを感じたところで、部屋にあった見慣れない装置を使用人が作動させる。すると、中の方がほのかに赤く輝く。まるで火が付いたように温かくなってきた。

それなのに煙や匂いも無い。聞いてみると最近開発された魔法道具とのことだった。

何がどうなっているのかまったくわからないけれど、ちょっと感動的なものがあった。


ついに明日、勇者の葬儀がひそかに行われるとのこと。

ウィルコさんやソリーサさんが協力してくれると思うが、どこまで僕が参加できるのかは当日になってからの勝負になる。

あと、ヌイさんとリトさんも話した通りならどこかにもういるはずである。

あの人たちも何かしら力になってくれる気がする。


…本当にこれでいいのか?という思いがある。

真実を知るための準備は足りているのか?ということもあるが、赤の他人が葬儀に首をつっくむようなことをしていいのか?ということだ。

別に何か悪いことがしたわけじゃない。勇者や関係者が隠していることをわざわざ暴くことをする意味があるのか?

それもこれも、明日すべてが決まる。

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