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Option of Amazoness  作者: カピパラ48世
39/39

35話 からまれるもの

秋になり、街は賑わっていた。


紅いワンピースのいで立ち、麻のフードを纏い、少ない荷物を最中に背負い護身用のショートソードを腰にぶら下げ、フードからは黒く長い髪が見えていた。

小柄のそのいで立ちから、小さいはずの荷物は少々大きく見えた。

「よう!ねぇちゃん!」

昼間というのにチンピラの恰好をした酒臭い三人の男が絡んできたが、それを無視し街の中心へと歩を進める。

「ちょっと待てよ!!」

一人がその女の肩を掴もうとする・・・が、するりと躱され何事もなかったかのように進んでいく。

「な・・・なんだ・・・?」

掴もうとした手を伸ばした状態でバランスを崩し倒れそうになる。

「なんだお前、もう酔っているのか!」

その男を小ばかにするようにもう一人の男が彼女に掴みかかろうとするも、するりと躱される

そのあとも男共は何度も絡むが、全てするりと躱された。

ビューン

・・・と路地から少々強い旋毛風が彼女を襲うと、フードがめくれ上がり、男の一人と目が合った。

「なんでぇ!ガキじゃねーか!」

顔つきを見るなり男がぼやいた。


カチン!!


自身は気付いていなかったが、目つきが変わった・・・。



いい天気だった

ジーナは今晩の食事の為に買い出しを・・と、街を歩いていると、

ゴロツキ3人に絡まれている少女の姿が目に入る

「あらあら・・・大変だねぇ・・・」

助けなきゃ・・・と、彼女はそちらの方向へ向かうと・・・


「なんでぇ!ガキじゃねーか!」

とゴロツキの一人がぼやいた。

遠目でもトサカに来たのがわかった。ゴロツキではなく、少女の方が・・・

ジーナの目に少女の髪が少々浮き上がって見えた・・・まるで猫が毛を逆立てるかのように・・・

「・・・えっ・・・」

左手が腰にあるショートソードに向かって自然に動くのにジーナは気付く・・・・

やばい・・・咄嗟に口が動いた

「駄目よ!!死んじゃうじゃないか!!」

ハッと気づき、左手が止まった。

「なーに勘違いしてるんだ!殺しはしねぇよ!!」

ゴロツキがその言葉に反応してジーナに振り返りそう言う。

彼女に向けて言ったのだが・・・。4人の近くまで来たジーナは立ち止まり、少女の殺意の静止が出来たことを確認すると、

「ああ・・なら、いいんだけどねぇ・・・」

とぼけたように、ゴロツキに言う、なんとか騒ぎは収まるみたいだねぇ・・・と安堵していると

「大丈夫!殺す価値もないから。」

小さいながらもはっきりした声で少女が声を出し、ゴロツキ共が表情を変えた。

「なんだと!」

「もう一度言ってみろ!」

とケンカ腰の声に、右手の人差し指を自身の頬に当て、わざとらしく考え込むような姿勢で

「殺す価値が無い・・・だったかしら・・・うーん・・・」

一拍置いて

「・・・もしかしたら・・・生かす価値がない・・・だったかしら・・・。」

とぼけた笑顔を見せ、よく聞こえる声で返答した。

「ちょっ!ちょっと!!」

ジーナが慌てて止めるも、もう遅かった。

「てめぇ!」

そう罵声を出しながらチンピラたちは各々の武器を手に取った。

ロングソード、少々大きめのダガーの二本持ち、棍棒持ちと三人が三様な獲物を構え、彼女を囲う。

ジーナは思わず助けに入ろうと体が動いたが、自分には武器も防具もない。出ていけば怪我人が増えるだけだ。

「ええぃ・・・どうすれば・・・」

そう悩んでいると、三人が女に切りかかる。

「ああっ!」

切られる!ジーナはもとより、見ていた誰もがそう思っただろう・・・が・・・

ひらりと全てを躱し、3人の右側にまわりこむ。一番右側にいた棍棒持ちがすぐさま彼女を狙うも、するりと左に避ける、その先にいたダガー持ちが切りかかってきたが、それを棍棒持ちを中心にバックステップしながら避ける、その躱した先からロングソードが襲って来る。女は裏手で棍棒使いを押すと、棍棒使いが剣筋を塞ぐ形になった。

「わぁ!俺を切るつもりか!!」

必死に棍棒使いがロングソード使いに声を出した。

「ちっ!」

大きく舌打ちをしたが、剣は勢いが強く止められない

「わあ!」

棍棒持ちの情けない声が聞こえると同時に不自然に彼の体が横に逸れ、ずれたことにより剣筋の前に来た棍棒でロングソードを受け止める形となり、カン!という甲高い音が辺りに響いた。

何とか仲間を切らずに終わったことに安堵していると

「あら!運がいいわね。切られちゃえば良かったのに!」

クスクスと笑いながら貶すように言葉が出された。

「なんだと!!」

男達は怒りの声を上げた。


ジーナは目の前の光景に驚いていた。

「あの娘・・・あいつを助けたわ・・・」

てっきり三人がかりの男共が優位に立つかと思いきや、彼女優位の攻防があり、しかも最後に彼女は一度剣の矢面に突き出した男をもう一度押して助けたのだ。

一見華奢で守ってあげたくなるような外見だが、それは間違いだったと認識を修正する。

「診療所のベッドは3つ必要だねぇ・・・」

ジーナは無意識に呟いた。


ゴロツキ3人は、もう一度囲う様に女と対峙する。

すると、女はバックステップで後ろへ下がる。

「逃がすか!」

三人が同時に切りかかるも先程と同様にするりと躱す。更にバックステップで後ろへ下がる。三人は追いかける様に攻撃する。

まるで後ろに目でもついているのか・・・、ジーナには、人気の少ない空間へと向かっているのがわかった。そのまま少々開けた広間へと進んでいく。

広い空間へとたどり着くと、今度は弧を描くようにバックステップで三人の攻撃を避け・・・いや・・・

「あんな状態になっちゃ、多人数の意味がないねぇ・・・」

ジーナが呆れて言葉を出した。

三人は。身軽なダガー持ちを先頭に、ロングソード持ち、棍棒持ちの順に並んで彼女を追う状況になっていたのだ。

今はダガーの攻撃しか彼女に届かない。

「連携もとれないんじゃ、彼らの勝ちは無いわねぇ。」

ジーナは安堵して言葉を出す。

四人の追いかけっこのスピードが乗ったところで、女がおもむろにステップを止める。

「観念・・・したか!」

少々息を切れた大声を上げながらダガー持ちが切りかかる。ロングソード持ちもその右側から切りかかろうと迫ってくる。その後ろには棍棒持ちがいる。女は今度は男達に向けダッシュしながら左側に避け、ダガー持ちの足を払う

「おわっ!!」

「なにぃ!!」

転んだダガー持ちに、ロングソード持ちが衝突し二人は地面へ転ぶ。更に女は後からくる棍棒持ちに向かいダッシュし足を払う。

「えっ!」

女に攻撃しようと振り上げた棍棒を持ちながら彼は転倒する・・・その棍棒はそのまま倒れた二人へ襲いかかった。

「ぐえっ!!」

「ごあっ!」

景気のいい殴られた音と情けない声を出して二人は気絶したようだ。

「えっ!」

自分の棍棒で仲間が気絶したのを理解し、戸惑った声を上げ、狼狽していると

ドン!とうつ伏せに倒れていた背中に小さな足が乗った。

「ひぃ!」

情けない声を上げる男に、女が話しかける

「もう決着ついたってことで、いいかしら?」

静かに、穏やかな口調だったが、迫力のある言葉だった。

男は怯えながら何度か首を縦に振り返事をした。


「おつかれさん・・・あんた強いねぇ・・・結局あんた剣を抜かずに終わっちまったよ。」

倒れた三人を後に歩き始めた彼女にジーナが声をかける。

「ああ・・・あなたね・・・ありがとう。」

女はジーナに気付き礼を言う

「・・・えっ・・・と・・・えー・・・私はジーナってんだけど」

そういうと

「なんで私に礼を言うのさ!あんたは一人で片を付けたんだよ。」

戸惑いながら少々ぶっきらぼうな口調で質問する、女は少々驚いた表情を見せ考えていたが

「あなたの声がなければ、切り倒していたわ。」

表情を変えずにそう答えた。

「ははは・・・」と苦笑いで返したのだが・・・

ふいに、ジーナもなにか思い出したかのような表情を浮かべ、彼女に問いかける

「あんたってこの辺りの娘じゃないだろ、行く当てあるのかい?」

続けて

「もしよければ、あんたにぴったりな所があるんだけど、この街に住むつもりはないかい?」

と、最近ジーナにオファーのあった王宮警備隊の誘いを聞くことにした。

女は短めに長い時間、斜め左上を眺めていたが、

「そうね。内容によるわね。」

と、スカウトの話を聞いてくれる流れになった。


二人で広場にある店で話をすることになったのだが、ジーナが彼女の名前を聞いていないことを思い出した。

「えーっと・・・ところであんたの名前はなんていうのさ?」

すると、女も自分が名乗っていなかったことに気付き、びっくりしたように左手を口に当てた。

「ふふふ・・・ごめんなさい。そうね・・・ジーナ、私まだ名乗っていなかったわね。」

そう言うと一拍置き

「私の名前は・・・」

ゆっくりとジーナへ自分の名を告げる


「シルフィーネ・・・よ」

爽やかな秋の風が二人の前を過ぎていった。



ジーナは警備中の女宮城を見つめた。

隣につまらなそうに警備をしているシルフィーネの姿があった。

”あの頃は、ホントにぶっきらぼうな娘だったねぇ・・・”

昔を懐かしみ彼女の横顔を見ると、なんだか顔がにやけてきた。

それに気づいたシルフィーネが怪訝な表情をして

「なによ!なんか私の顔についてるの?」

と自分の顔をさすりながら言う、ジーナはシルフィーネに視線を合わせ

「いやぁねぇ・・・昔のあんたは可愛かったねぇと思い出してねぇ・・・」

とにやけた表情のまま答えた。

なにやら納得のいかない表情のシルフィーネがそこにいた。


あの時とは季節は違うが、似た風が二人の前を過ぎていった。

かなりご無沙汰の更新になりました。

この話、最終話まで書いちゃうと、ちょっと本編のネタに影響が出るので、今は最終章を残して停滞しております。追加エピソードができればまた更新したいと思っておりますので、気長に見ていただけますと助かります。


間違い見つけたので修正しました。

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