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Option of Amazoness  作者: カピパラ48世
37/39

33話 右手を見るもの

「・・・・」

ジーナは一瞬言葉が出なかった。そしてハッと我に返ると

「ちょ・・・ちょっと・・・!!!圧勝しちゃったじゃないの!!!」

「ああ・・・どうなってんだ?」

ロタが冷静に言った。

「・・・」

ウォルドは黙っていた。



闘技場の中央では勝利したシルフィーネをたたえる歓声が響いていた。

シルフィーネが静かに木剣を地面に置くと、モーリスに恭しく跪き

「よい試合をありがとうございました。」

そう礼を言った。

モーリスは含み笑いをするとシルフィーネに一礼をする

「ふがいない相手で申し・・・」

言いかけたモーリスに、シルフィーネが左手の人差し指を自分の口の前に当てナイショのポーズをとった

「・・・えっ・・・」

ゆっくりと立ち上がるシルフィーネは、モーリスにニッコリとした笑顔を見せると、その表情のままゆっくりと観客席の中央にある主賓席に顔を向けた。

そして、その中央にいるランザード皇子に向かい、恭しく跪き頭を垂れた。

観客はシルフィーネの所作に気付くと、大半の視線がランザードへとむけられる。

フフフと苦笑いしながらシルフィーネを見下ろすランザードがそこにいた。


「ランザード皇子!」

ひときわ通る声でシルフィーネが皇子を呼ぶと、シルフィーネは顔を上げランザードに視線を合わせた。

ランザードは頷いた。それを見たシルフィーネが言葉を続ける。

「私は、奇跡とはいえ、我が国最強と誇る剣士ウォルドを倒したものでございます。」

観客がざわついた

「彼、モーリスは優秀な剣士でございます。」

シルフィーネが良く通る声で言葉を発し始めた。

「しかし、私は貴国の最高の剣士と相まみえたいと存じます。」

そう嘆願すると、少々の間を置いて、

「ほう・・・それはどの者の事を申しておるのだ?」

一瞬険しい表情をしたランザードがシルフィーネに問うた。

モーリスはその言葉を聞き頭を垂れた。シルフィーネはそれを無視し口角を少し上げ、

「貴国、キノアス王国にての最高の剣士・・・」

シルフィーネが言葉を始める

「ランザード皇子、あなた様です。」

はっきりとした口調でそう言った。



「あら、ランザード様は剣士様でしたのね!!」

シャルロットが嬉々として問いかけてきた。ランザードは少々困った顔をして、

「ええ。まぁ嗜む程度ですが・・・」

と返す。

「凄いですわ、嗜む程度でモーリス殿よりお強いのですね!!」

更に嬉々としてシャルロットがはしゃいだ。



「なぜ・・・お気づきになられたのですか?」

モーリスが小さな声でシルフィーネに問いかけた。

シルフィーネは小さく微笑むと

「あなた達二人とも右利きでしょ・・・」

そう言った

「いえ、皇子は左利きです。」

すぐさま反論された。

「でも剣を持つのは右でしょ。」

それをきっぱりと反論する。モーリスが言葉を失った。ランザードは左利きだが、帯刀は左だ。

「昨日のダンスで、ランザード皇子の右手のタコが剣士のそれであるのは気付いていたわ。」

「あなたの右手のひらのタコよりも、手練れた形をしていたのよね。」

モーリスが右手を確認し始めると

「あら・・・あなたも自慢してもよい、すばらしい手相してますわよ。」

シルフィーネが笑顔で声をかけた。

”それでもあなたに圧敗したんですけどね・・・”

モーリスはその言葉を言わなかった。


「ふむ・・・」

ランザードが声を出した。

「隠し通してもよいことだが・・・」

「皇子!!」

ランザードは。止めにかかった従者を制止し

「私も剣士の端くれ、あの呼び声に応えたい」

そう言うと、ゆっくりと立ち上がり、

「シルフィーネ殿よ、確かに我はそのモーリスよりも長けた剣士との評がある。」

周りによく聞こえる声でシルフィーネに話し始める

「しかし、皇子としての国政を担う立場上、我は剣士としての評を受けるものではない故、此度は彼・モーリスを紹介した。」

「それがあなたの威厳を損ねるものであったことは、お詫びを申し上げる。」

深々と一礼し、顔を上げると

「しかし、わが国の剣技が最高と自負する我としては負けたまま引き下がれない。」

ランザードが落ち着いた口調で言葉を続ける

「そこで、この場で出せる最高の剣士にてあなたとの再戦を挑みたいのですが、どうでしょう。」

シルフィーネは満面の笑みを浮かべその提案を受け入れた。

観客から大きな声援が上がった。

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