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Option of Amazoness  作者: カピパラ48世
36/39

32話 圧倒するもの

ジーナはオロオロしながらシルフィーネを見ていた。


「今日の体調は普通よね。」

カレンが冷静に聞いてきた。

「疲れによる目眩以外は普通よ・・・・。」

諦めた口調でシルフィーネが答えた。

「まぁ、今日は異国人への配慮もあってか木剣での勝負だから、致命傷は起こらない・・・と思うがねぇ・・・」

ロタが他人事のように呟く。

シルフィーネはジトリとした目つきでロタを睨んだ。

「まぁ、今回は許可したお姫様を恨みなさいな。」

楽しそうにアーシャに背中を押され、ガクリとうなだれると

「今日のフィーネは表情が豊かね。」

カレンに追い打ちをかけられた。

「私・・・目立ちたくないんだけど・・・」

シルフィーネの呟きは周りの雰囲気にかき消された。


闘技場には人だかりができていた。

前回の試合でウォルドを敗北させた女剣士と、異国の強者との戦いは街中に御触れがあり、それを知った者たちがあふれかえったのだ。


「まったく・・・みんなこういうの好きよねぇ・・・」

ゼルギルフ側の控室でアーシャが感心した。

「いい?シルフィーネ!!負けてもいいから怪我のないようにね!!」

ジーナが心配そうにシルフィーネの右肩にしがみつく

「う~ん、そういうのもいいかもねぇ・・」

含み笑いをしてシルフィーネは答えた。

「まぁ、圧勝はしないほうが良いかもな。」

ウォルドが横やりを入れてきた。シルフィーネが「ハイハイ」と答えると

「ん?なんで?」

ジーナがその言葉に喰いついてきた

「そりゃ、外交的にどうなのかと思うからだろ!」

ロタが珍しくまともな意見を言ってきた。

「この試合に政治が絡んでくるのかい?」

ジーナのその言葉にロタが言葉を続けた。

「そりゃ、その国自慢の剣士を圧倒したらいろいろとまずいだろ!」

ロタが当然のように言った。

「へー、そうなんだねぇ・・・」

シルフィーネが棒読みのような感情のない口調でそう言った。



モーリスが先に闘技場の中央に来ていた。短い銀髪の中肉中背の好青年は、遅れてきたシルフィーネに恭しく膝をつき礼をした。

”あら・・・礼儀正しいわね・・・”

シルフィーネはそう思うと、まるでドレスでも着ているかのように礼をすると、右手を差し出した。

まるでダンスをする前の挨拶をしているかのような2人を見て、観客は息をのんだ。

モーリスがダンスの指名を受け取ったかのようにシルフィーネの右手を取り、立ち上がった。

”!!”

シルフィーネがしかめ面をし、ちらっとモーリスから目をそらすと

「・・・あんちきしょうめ・・・」

小さく呟いた。


改めて対峙した二人を、進行役のコウが紹介する

二人並んでみるとモーリスの方が頭一つ背が高い

「キノアスきっての剣士モーリス殿でございます。」

良く通る声が競技場に木霊する。

モーリスは観客に手をかざしアピールをする。観客から大きな歓声が上がった。

「こちらは我が国が誇るウォルド氏を打ち負かしたシルフィーネでございます。」

シルフィーネはモーリスに倣い手をかざして観客にアピールした。

観客から大きな歓声が上がった。

一応の挨拶をすましたところで、

「それでは始める事に致します。」

コウが場をまとめた。

二人の間に立ち「遺恨なき戦いを・・・」静かにそう言うと

「では、はじめ!!」

コウのよく通る声が始まりを告げた。


歓声が競技場を埋め尽くす。

シルフィーネとモーリスは落ち着いた表情で向き合った。

「我が主は貴方様の雄姿を見たいそうです。」

軽く微笑みながらシルフィーネにそう伝える

「あら、私は勇敢な殿方のエスコートを待っていますのよ。」

ニッコリとそう返した。

「それでは・・・」

構えのない姿勢から、鋭い振り上げがシルフィーネを襲う。それを体を捻るように反転し躱す。

「さすがですね。」

最小限の動きで躱されモーリスは嬉しそうにシルフィーネを褒め称えると振り上げたその木剣を踵を返すかのように振り下げる今度は袈裟切を思わせる斜めの切り方だ。

”ミイルス君とよく似た剣筋ね。”

そう思うと、シルフィーネはその剣戟に落ち着いて前に移動した。モーリスに密着するほどに近付き

「あら、激しい切込みね。」

そう囁いた。モーリスは空振りに終わった剣戟を戻し、一歩後ずさり間合いを取りなおした。

”まったく剣を振らずに対応された・・・”

モーリスが焦りを見せた。そんなモーリスに

「後悔は残しておりませんか?」

シルフィーネがニッコリとした表情で問いかけてきた。

「・・・な・・・なにを・・・」

言葉を理解できないモーリスに

「まだ、心残りあるなら、本気で切りかかってくださいませ。」

シルフィーネはそう伝える、そして、

「全部当たりませんけど。」

ニッコリとそう追加する。

「えっ!!」

まるで晴天の日の浜辺に大きな津波が攻めてきているかのような不思議な威圧感をモーリスは感じた。


「それでは失礼いたしますわ。」


断わりの言葉が聞こえると、シルフィーネが体を低くしながら前へと突進してきた。

「なっ!!」

あまりに素早さに対応が遅れる。・・・が前から攻めてきているのはわかっている。薙ぎ払う様に木剣を出した。モーリスの木剣には抵抗が感じられなかった。

「!!」

モーリスが驚愕した。

相手には余裕のない高さで薙ぎ払ったはずなのだが、シルフィーネが更にその下をくぐり、彼女は自分の上を過ぎていったモーリスの木剣を弾いた。


カラン という乾いた音が響くと、モーリスの手から離れた木剣が地面へと転がった。

あまりにも一瞬の出来事にモーリスは唖然とした。しばし観客も何が起こったかわからず困惑した声が多く上がった。

そして・・・

「勝者!シルフィーネ!!」

コウのよく響く声が闘技場に響いた。


結構前からストックがなくなってしまったので、なんとか不定期ながら頑張って書いております。

普段執筆活動されている先生方はほんとに大変ですね(笑)

頑張って書いていきたいと思っております m(__)m

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