31話 パーティに疲れ・・・いや、それ以外のことにも疲れるもの
「このお方が、あのウォルド氏を倒した剣士なのですね。」
嬉々とした表情でキノアスの皇子ランザードはシルフィーネを目の前にシャルロットに話しかけた。
体格のしっかりとした金髪の好青年で、白いタキシードを着こなしている。
「そうですわ。私のシルフィーネがウォルドをやっつけましてよ!」
なぜシャルロットが皇子の相手をしているのかわからないし、何やらいろいろと語弊のあるある言い方をしているが、話は通じているようだ。
紅いドレスを着こなし、ポニーテルを紅い髪飾りで右サイドにまとめたシルフィーネがそこにいた。
「シルフィーネと申します。此度は遠方よりお越しいただき恐悦至極に存じます。」
と恭しくお辞儀した。
「このような美しい女性があのウォルドに勝利したとは・・・。」
あまりにも絶賛するので、ちょっとむず痒さを感じたシルフィーネは
「いえ・・・取り決めや制限のある戦いで何とか勝利いたしましたが、本来ならウォルド殿が勝利していた試合でございます。」
まぐれであることを強調しながらウォルドを持ち上げた言い方をした。
まぁ、実際はそうだったしねぇ・・・。
「ほう。その謙虚な姿勢もすばらしい。ますます興味がわいてきました。」
なぜかその言葉をシャルロットに向かって皇子は言った。
「ねっ!私のシルフィーネはすごいでしょ!!」
シャルロットは誇らしげに返事した。
シルフィーネはそのやりとりに一抹の不安を感じた。
その晩は皇子への歓迎のパーティとなった。
社交ダンスが行われ、シルフィーネは皇子の誘いを受け、ダンスをすることとなり、何とか対応しきった。
「大丈夫か?」
強制参加させられたウォルドから心配の言葉をかけられた。
「こういう場所や社交ダンスってのは全くもって苦手なのよ!!」
疲れた表情をしながらそう答えた。
「そりゃお疲れさん」
ウォルドから労いの一言が出た。シルフィーネは「ははは・・・」と苦笑いをした。
そしてパーティは終盤を迎えた。
「やっと、この窮屈なところから抜け出せるのね・・・」
ウォルドにそう呟いくと・・・その時
「皆様に紹介したい者がいる!」
ランザード皇子がひときわ通る声で言葉を出した。
「オー!」という周りからの声が彼を引き立たせ、その隣にいる軽装の武装をした男を紹介する。
「この男は、わが国一番の剣士、名をモーリスという」
うんざりとした表情を浮かべたシルフィーネは
「ウォルドさん、ご指名よ。」
と小声で言った。
「そりゃ、役者を間違ってるねぇ・・・」
ウォルドから哀れみのある言葉が出ると、シルフィーネは目眩したかのように顔に手を当てた。
「明日、この者と、最強の女剣士であるシルフィーネ殿との試合を行うことを、このシャルロット嬢とお話をいたしました。」
ランザードから発せられた、予想道理の「予想外のイベント」に、シルフィーネはよろめいた。




