29話 夢の世界に住むもの
「人はどこからどこへ行くのかしら・・・」
白い髪の女性は、静かに呟いた。
「・・・う~ん・・・」
シルフィーネは思想の奥で悩んだ。
「地方から王都くらいかなぁ・・・」
女性の顔は見ることはできなかったが、素っ頓狂な気持ちが伝わってきた。
「なぁに・・・それ!」
楽しそうに笑いながらそう答えた。
あれから何度か夢の中で訪れるこの白い空間。最近は登場人物である白い髪の女性としっかりと意思が伝わるようになってきたみたいだ。
しかし
夢の中ではつながりを覚えているのに、目が覚めると全く覚えていないのだ。この類の夢を見ている間は当たり前のようにこの世界のことも、自分の現実の世界も思い出すのだが、夢の中で思い返すと、現実では思い出せていないのを理解できるのだ。
“なんだろうねぇ・・・”
そんなシルフィーネの思考を読めるのか、白い髪の女性はクスクスと笑った。
「あら『―――』、最近はご機嫌ね。」
ただ、そんな中でも、名前に関する名詞は自分に届かない。“それもなんだかねぇ・・・”ちょっと不満げに思った。
更にクスクスと笑いながら「・・・あら、そうかしら・・・」と自分に声をかける女性に応えた。
目の前に立つ女性は、これまた白い装束に長く白い髪、銀の目、美しいというよりは可愛らしい表情をもつ小柄な女性。
「お姉さま。」
シルフィーネに気を使ってなのか、たまに関係性で人を表してくれている。
本人より幼顔の彼女は二番目の姉とのことらしい、そしてもう一人姉がいるのだが、その女性は息をのむほど美しい紅い目をした長い黒髪の女性だったことを覚えている。
「なぁに?『―――』、また、彼の人と話してるの?」
目の前に来た白髪の可愛らしい彼女は自分たちを覗き込むように話しかけてきた。
「今日は違う人よ。」
彼女は弾んだ声で返した。
「ふーん・・・こんな殺風景なところで、あなたは結構人脈はありそうねぇ・・・」
ちょっとニタリとした表情を向けそう返された。
“仲の良い二人ねぇ。”
シルフィーネはそう思った。その言葉に彼女の気持ちが弾むのがわかった。
「じゃあ、今日はこの辺かしら・・・」
どうも現実で自分が目覚める兆しを感じ、シルフィーネはそう言った。
「またね来てよね・・・」と彼女は返した。
シルフィーネはベッドの上で、ロタにシーツではたかれた勢いで目が覚めた。
「ロタ!こら!脳みそプーになったらどうするんだよ!!」
こちらの世界ではまた朝が始まろうとしていた。




