25話 目覚めしもの
―――はっ―――と目覚めた。
「ここは・・・」
そう呟いた途端、まるで思い出したかのように全身に鈍く強い痛みが襲い掛かってきた
「・・・あうっ!!」言葉にならない短い苦悶を口にした。吐き気でも襲ってくるような不快感も同時に感じ、どうしてよいかわからない苦悶を現した。動きづらい・・・湿布を固定するためか・・体中・・・いや、頭にも包帯が巻いてあるようだ。
“えっと・・・私は・・・私は・・・”一体どうしたというのか・・、そしてコロシアムの試合を思い出した。
「・・・ああ・・・」
理由を思い出し何とか落ち着いたところで、ベッドに身を沈めたシルフィーネは、見慣れた天井を見つめ、
「終わったんだねぇ・・・」
・・・と、安堵の声をあげた。
しかしまぁ、この全身にわたる痛みはどうにかならない物なのかねぇ・・・頭の中で悪態をついているとき
「シィル、気が付いたのか?」
聞きなれた声が聞こえた。・・・と同時にガタッという大きな音も聞こえ、誰かが駆け足でこちらへ向かって来る気配がした。
「シルフィーネ!!」
「フィーネ!」
「・・・ぐえっ・・・」
歓喜の声と共に、動けないシルフィーネに、どうやら二人が抱きついてきた。思わず苦悶の声を出したが、聞き入れてもらえなかったようだ。
「シルフィーネ!やっと起きたんだねぇ・・・よかった!」
「フィーネ・・・ごめんなさい・・・私が負けなければ・・・」
体中痛みを感じる中、感情的に抱きしめられ、一瞬気が遠くなりそうだったが何とか堪え、必死に自分の名前を呼びながら、涙を浮かべるその姿を確認し、
「・・・ジーナ・・・カレン・・・」
その名前を呼ぶ。
今まで泣き叫ぶかのように喚いていた二人が名前を呼ばれ、一旦冷静になった。
「心配したんだよぉ・・・」ジーナが情けない涙声でそう言った。カレンは改めて号泣しながらシルフィーネを強く抱きしめた。そんな二人を見てシルフィーネは、静かに微笑み
「心配・・・かけたね・・・」
小さく呟いた
「・・・ところで・・・勝敗は?・・・」
ハッと気づいて、今出せる、か細い声で聞いたが、皆自分の世界に浸って声が届いていない。
とりあえず落ち着くのを待とうという考えに至ったが、なかなかこちらに気付いてくれない。悶々とした気持ちがシルフィーネを支配してきた。この様子ではしばらくは相手にしてくれなさそうだ・・・。
「一体、どうなったのよぅ・・・」と情けない顔でつぶやいた。
まだ涼しさの残る初夏の風が辺りに吹いていた。




