09話 祭りに集まりしもの
街はにぎわっていた
祈願祭の人込みが王都を賑わしていた。
街ゆく人々は、食事や買い物に勤しんでいた。
「おい、なんだこれ・・・」
ひときわ大きな文字が書いてある張り紙に人々は立ち止った
「最終日、闘技場にて決闘がある」
一言でいうとそんな言葉が書かれていた。
「・・・決闘・・・?」
「入場は無料だってよ」
それぞれの呟きが合わさって騒めきとなった。
「隊長はあまり乗り気ではないようですが、かなりの人が興味を示していますね・・・」
近くを警備していたミィルスがその人だかりの多さに感心していた。
ジルは賑やかな街を歩きながら警備をしていた。警備隊が闊歩しているだけで犯罪や喧嘩は減少されるが、全てではないのだ。先ほども喧嘩の仲裁を二件ほど行っていた。途中、決闘のチラシを貼った看板を見かけ足を止めた。そこにも人だかりができていた。
「・・・まぁ、平和で何よりだ・・・」
軽く笑いながら、人々を眺めた。
祭りは賑わいを増していた。
「明日よ!明日!」
ジーナがシルフィーネに声をかけた。シルフィーネというと、少し顔色が赤みを失ってきたようにも見える。
「・・・そうねぇ・・・・明日よねぇ・・・」
下腹に違和感を感じ始めたシルフィーネは、よそよそしく答えた。
「・・・明日の午後辺りがピーク・・・かしら・・・・・」
苦笑いを浮かべながら、恐る恐るジーナへ呟くかのような声で伝えた。
「え~!!一日くらいずれてくれてもよかったじゃない!!なんでこんな時に予定通り来ちゃうのよ!!」
泣き出しそうな情けない表情で、無茶なことを言ってきた。
「・・・いや・・・そんなことを言ってもね・・・」
弱々しくそう呟いた・・・・。
相変わらず春の日差しは暖かに周りを照らしていた。