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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

クトゥルフ令嬢

作者: あわき尊継


 「君との婚約も今日までだ。この場で以ってその契約を破棄させて貰う」

「いいえ、王子。私は貴方を離さない。無駄ですよ、既にその言い分は潰してありますもの。ふふふっ」


    ※   ※   ※


 ごほ、ごほ、と咳をしながら部屋を掃除していく。

 幾ら清めても綺麗にならない。

 というのも、この部屋の主であるレティシア=エリカルドスの狂行が原因だ。


 共に衣替えをするメイド仲間達を見ながら、私は気味の悪い燭台に飾られた蝋燭を取り外す。

 なんだか異臭がするかと思えば、蝋燭からだった。

 燭台の形が歪で気色が悪く、出来ればあまり近寄りたくない。

 いつの間にやら部屋にはその手の奇妙な置物が増えていて、主レティシアは病的なほどそれに執着しているの。


 夜に暇を告げて辞した後、朝来て見れば最後に見た姿のまま延々と謎の言葉で祈りを捧げていた時など、ぞっとして悲鳴をあげそうになったわ。


「お聞きになりましたか? レティシア様ったら、またご自身の妹君に辛く当たられていたそうよ」


 口さがないメイドが噂話を始めた。

 私は率先してその手の話に絡むことはないけれど、宮仕えをしていて噂を無視できるほど達観してはいない。自然と耳に入るのだから聞いておけばいい。

 いざという時の備えにもなるでしょうしね。


 それにしても、なんて臭い蝋燭かしら。


「本来王子との婚約関係にあるのはエリカルドス家の長女であるレティシア様。ですけれど、ここ一年ほどのあの方の振舞いを見ていれば、王子から愛想を尽かされるのも当然でしょうね」

「あまり大きな声で言う事ではないわよ」

「分かっているわ。ここだけの話よ。それでね、先日も妹君が王子と中庭で話をされていたのだけど、レティシア様ったら突然悲鳴をあげたかと思えば、衛兵から剣を奪って妹君へ斬りかかろうとしたの」

「まあっ、それは大事ではありませんか」

「幸い王子の護衛がそれを止めて身を拘束したのですけど、今度は護衛にも寄声をあげて斬りかかろうとして……まあ最終的には大臣がやってきて事は有耶無耶に。流石にエリカルドス家の長女で、一応は王子の婚約者であるレティシア様を裁くのは簡単ではないでしょう?」


 やはりもうレティシア様に仕え続けるのは危険なのかしら。

 主が裁かれた際、連座で仕えていた者まで処刑されることもあるにはある。妹君へ乗り換えて、あるいはもっと別の場所へ逃げて宮廷内が落ち着くのを待つべきか。


 などと私が考えていたら、廊下の方から大きな物音が迫って来た。

 あぁ。


「やっぱり!!」


 この部屋の主、レティシア様が供も付けずにやってきて、自ら扉を開け放った。

 月の光を帯びた白金色の髪と、白磁の如き美しい肌。国花であるエーデルワイスにも例えられる可憐な佇まい。王国へ光差す時、そこにはレティシア=エリカルドスありとまで謳われた美貌の才女――――というのは既に昔の話。

 髪は枯れ草の如き荒れ放題、肌は青白くひび割れて、頬はコケて目は落ち窪んでいる。まさしく狂人の様相。


 王子の心を妹に奪われたことが余程辛かったのでしょう。

 けれど、当初感じていた心配や哀れみも、鳥の劈く声にも似た怒声で吹き飛んでいる。


「この燭台には触れるなと言っておいた筈よ! 誰がやったの!」


 私ですが、言い出したりはしません。

 他のメイドも態々教えたりはしない。

 既に全員の心は離れ、今はレティシア様を危険視する人達に情報を流し、逃げる先を確保している段階です。


 第一、あんなに臭い蝋燭を四六時中焚かれていたら堪らないわ。

 私達にだって、清涼な空気の中で仕事をする権利くらいある筈よ。


 結局私達はレティシア様から追い出され、早めの昼食を摂る事になった。

 あの呪文も耳障りよね。

 ぬちゃりぬちゃり。

 私達はお腹一杯食べて、また仕事へ戻っていった。

 そういえばさっき噂話をしていた二人、いつの間にか逃げてしまっていたわ。だって姿が無いんだもの。きっとそうなのよね。


    ※   ※   ※


 新たな報告を受けて、私はまた頭を抱える事となった。


「大臣……このままでは、反乱を呼び込む切っ掛けを生んでしまいます。お気持ちは察しますが」


 レティシア=エリカルドスの事はお披露目前より知っている。

 とても愛らしく、じーやじーやと裾を引っ張って来た日の事を今でも鮮明に思い出せるほどだった。

 そんな彼女も、宮廷に染まってしまったということだろうか。


 王国の未来と彼女の幸せを願って結ばれた王子との婚約、それが彼女の過剰なまでの嫉妬を呼び、先日のような凶行に及ばせたというのなら、罪は私にもあると言える。


「焼き払われた村の生存者は……」

「現在は発見されていません。ただ、登録にあった人数よりも、焼死体の数が圧倒的に少なく、どこかへ逃げて潜伏しているものと思われます」

「なんということか」


 一年ほど前、とある寂れた漁村で奇病が流行った。

 患者は総じて一つの名を呼び、食事も受け付けぬまま狂い死にしたとされる。

 後々の調査では、異端と思われる信仰が行われていた痕跡が多数発見され、その儀式の中で病を呼び込む行為があったのだと発覚している。

 無論、漁村の人々すべてを焼き払うような事は出来ない。

 多くの神父を派遣し、聖なる言葉で以って住民を浄化させ、それでも戻らぬ異端者は裁判の後に処刑された。


 長年大臣などをやっていると、この手の事は時折起きる。

 民草の生活は辛い。

 税は重く、病が流行れば村一つなど軽く滅び、どうにか生き抜いても猛獣の類に襲われ食われたり、傭兵崩れの盗賊団に襲われ奴隷にされたり、あるいは出兵に際して徴兵され、そのまま死ぬ。

 それでも気付けば増えて湧くという思考が貴族には多く、彼らの生活を考えた所で支持など得られず排除されるだけ。

 故にこそ異端は必然。

 なれど、許すことは出来ず。


「だとしても、こうも立て続けに焼けば噂が立つ。煙は、いつだって民草の心をざわつかせるというのに。あぁレティシア、優しかった君がどうして、自ら先頭に立って村々を焼いて回るのか」


 それらしい報告書は届くが、支離滅裂な所も多く、真っ当な裁きがあったとも思えない。

 貴族が民草を虐げる事自体は、法的に問題がない。

 あくまで彼女が、エリカルドス家のご当主から管理を任された土地で行われていることである以上、どこからも文句の出し様はない。失笑を買うだけだ。

 けれどレティシア、君は、今の自分の立場の危うさを理解出来ているのだろうか。

 王子の寵愛を取り戻したいのであれば、もっと穏当な方法は幾らでもある。

 このままでは君を追い落としたい者達に利用され、切り捨てる口実に使われてしまうんだよ。


「大臣、どうか。理性的な判断をお願い致します」

「……あぁ。だが、もう一度彼女と話がしたい。あの子は本来、とても賢い子だ。きっと、きっと分かってくれるとも」

「そうであることを願います」


 部屋を出ていく近衛の長を見送り、また頭を抱える。

 愛か。

 これほど人を狂わせるものが世にあったなど、私は終ぞ知らなかった。

 どうか、せめて君を救わせておくれ、レティシア。


 あぁそれにしても、彼女がどうしても使えと置いていった蝋燭の臭いが、ずっと頭の奥を軋ませる。

 げっぷ。

 最近は王宮の何処へ行ってもあれがある。

 少々、うんざりもしている所だ。


    ※   ※   ※


 歴史ある宮廷を穢すが如き悪臭の元を、私は苛立ち混じりに斬り捨てる。

 全く、王子の婚約者としての立場を利用して、このようなものまで宮廷内に蔓延させるとは、思い上がりも甚だしい。

 真っ白に染め抜かれた壁に、足元には目の冴える様な赤い絨毯。

 ぬちゃり。

 ぬちゃり。

 靴音を奏でて廊下を進み、騎士達の詰め所へ辿り着く。

 既に食事を始めていた者共は、口元をソースで濡らしつつ手を挙げた。


「あぁっ、騎士団長殿! どうですかっ、中々新鮮な肉ですよ!」

「騎士団長っ、いい所残してますよ。さっきまで動いてたんだ!」


 全く食い意地の張った奴らだ。

 だが詰め所に広がる香しさに私もつい頬が緩む。


「そんなことより、ちゃんと警備は行っているんだろうな。大臣から、宮廷内で謎の失踪が相次いでいるという話を受けた。食事に夢中で賊を素通りさせていたなんてことになれば、俺達全員皿の上だ」


「あっはははは!」

「はははははは!」


「笑っている場合か。そろそろ重罪人が連れてこられる時間だ。なんでも、王都で異端者を集めて反乱を企てていたとかでな。一応私自ら引き取る話になっている。ただ、地下牢が空いていたか気になってな」


「大丈夫でさあ騎士団長!」

「ついさっき空いた所ですから!」


 そうか。

 それなら良かった。


 しかし、こうも良い匂いを嗅がされていると腹も減ってくる。


「おい」

「はい?」

「いや、すまんな。ちょっと手を借りただけだ」


 ぐちゃり、くちょくちょ、ごくん。


    ※   ※   ※


 舞踏会に現れたレティシアの姿を見て、私はついため息をついてしまったわ。

 彼女とは幼い頃からの付き合いだけど、体調不良や心労なんかは慮れても、ドレスの趣味が悪いと一緒に並んで立ちたくないの。


 最近の流行は赤よ。

 この舞踏会を開く為に、それはもう沢山の赤を敷き詰めたの。

 敢えて机のクロスを白一色にしたのも悪くない発想だと思わない?

 だって舞踏会が盛り上がる頃には、もう真っ赤に染まっているんでしょうから。


「ごきげんよう」

「あらレティシア様、ごきげんよう」


 話し掛けられてしまったので、いつも通りの笑顔で応じることにした。

 夜空を模したような真っ黒いドレス、染めは見事なようですけど、まるで葬儀へ来ているみたいで垢抜けないわ。


「今日の準備は貴方がしたの?」

「えぇ。大切な友人であるレティシア様がいらっしゃるのだもの、そこらの者には任せられないわ」

「そう……そうね。私も貴女の事は大切に想っているわ。本当よ」

「ありがとうございます」


 にこりと笑って受け取るも、頭の中では近頃の彼女の行動が蘇っている。

 内通する者が後を絶たず、黙って立っていても聞こえてくるのだから仕方ないでしょう?


「でも、ごめんなさいね」


 高位の貴族たる者、容易に首を垂れることはしない。まして、謝るだなんて、自らの格を下げることよ。

 けれど何があるのかしらと興味も湧いた。


「どうか為さいましたの?」

「えぇ。うん。そうね、おそらくだけど、少し荒れてしまうと思うの。折角貴女が準備をしてくれたのに」


 言いつつレティシア様は足元へ目をやり、その瞳が何一つ揺れることなくまたこちらを見据え。


「最後にこうして舞踏会へ参加したのなんて、いつぶりだったかしら」

「おかしなことを仰るのね。先月も開かれたではありませんか」

「だけどあの時は……いいえ。いいの、大丈夫よ」


 すっかり御姿の変わられたレティシア様が憐れで、ついつい心が揺れ動いてしまう。


 昔から派閥の者にはとても丁寧に接し、心遣いを欠かさなかった方だものね。

 王子の寵愛を失ったことはお辛いでしょうけど、よい縁談に恵まれたなら、きっとお心も晴れて昔の様になってくれる筈。


 なんて都合が良すぎるかしら。


「いいえ。そんなことは無いわ。私はいつでも、皆と昔の様になりたいと思っているから」

「……あら? 私今、無意識に喋っていたかしら」


「…………どうだったかしらね。ふふ。そんな顔をしていたのよ、貴女」


 なんて話していたら、仄かに流れていた演奏が曲調を変えた。

 少し派手で、賑やかな音。

 やんちゃだけれど、私は結構好きかな。


 だというのにレティシア様は一気に顔が青ざめ、額に汗を滲ませた。まるで極めつけに不快な音でも聞かされた様な反応ね。頭を抑えるその手すら震えてしまっている。あぁ可哀そう。


 でも仕方ないのかしら。

 だってこの音、王子のご来場を告げるものだもの。


「構わない。続けてくれ」


 顔を出した王子の御姿に、ついつい私も息を落としてしまう。

 昔からお美しい容姿だったけれど、ここ一年ほどは見違えるように魅力的に成られた。

 彼もまた恋を知ったからかしら。

 なんて、レティシア様を前に思うのは悪いんだけど。


「ううん。違うわ。間違っているのよ、この現実が」


 また声が出てしまっていたのかしら。

 困ったわ。

 考えることは止められないし。

 あぁでも、彼女の頭を潰してしまえば、聞かれてしまうことも無いかしら。


「困るわ。お願い、そのままでもうしばらく耐えて頂戴」

「そ、う……? でも、レティシア様から言われたのなら、そうするわ」


 あぁでも、こんなに話したのは久しぶり。

 なんだか最近、誰とも話していなかった気がするのよね。


 おかしいわ、こんなに声が頭に響くのに。


「大丈夫よ。うん。大丈夫」


 うん。

 分かったわ。


「レティシア! レティシアは居るか!」

「……呼ばれているわね」

「えぇ、そうみたいね」


 さっき話していた事かしら。

 怖いわ。

 ねえ。

 せめて貴方の手を頂戴。

 握り締めていたら、この胸の寒さも、不安も、忘れられると思うのよ。


「ごめんなさい。この手はあげられないの。でも、そうね……片耳ならあげるわ。音は聞こえる様に、外側だけね」


 本当?

 あぁレティシア。

 私の友達。

 本当に、大好きなのよ。


「分かっているわ。大丈夫。きっと、大丈夫だから」


 おいしい。

 ともだちがおいしい。

 あぁ、冷たくなっていた魂が、また少し、熱を取り戻した。


 私はまだ、私でいられる。


    ※   ※   ※


 そうして王子と対峙する。

 私の名はレティシア=エリカルドス。

 王子の婚約者。彼を愛し、彼を守ると誓った、一人の女。


「オ■デュ、ガ、ド、■■、デ。ダルッ。――――!」

「いいえ、王子。私は貴方を離さない。無駄ですよ、既にその言い分は潰してありますもの。ふふふっ」


 ヘドロをかき混ぜたみたいな音と共に異臭が王子の口内より放たれる。

 言語は不明。

 どんな書籍を漁っても、該当する単語は見当たらなかった。

 解読を試みたけれど、毎度言葉が違っていて法則性も見い出せない。

 けれど意味は分かる。

 頭の中へ響いてくる、思念そのもの。


 ここまで堕ちるのに一年を要した。


 正常なままでは彼との対話が出来ない。

 その深みへ手を伸ばすことも出来ない。


 身体の半身をフジツボに寄生され、口内からは無数の細長い触手を伸ばし、皮膚を食い破った大きな人面の蛆が顔を出し、言葉の度に腐った魚のような悪臭が漂い出る。それを嗅いだ者は次第に正気を失い、大いなるあのお方とやらの信奉者へ変貌していく。

 対抗する為のハーブを練り込んだ蝋燭は会場にも多数設置されているけれど、徐々に私の肉体が侵されていっているのが分かる。


 それでいい。

 それで。


「貴方がなんと言おうと、私は貴方との関係を断ち切るつもりはありません。静かで冷たい、水底よりあのお方とやらが這い出てきて、この国を覆い尽くしたとしても」


「■■ッシ、ア、あぁ……ゴ、バ、ァー」


「いいえ、王子。私は貴方を愛しているのよ」


 耳元の痛みが、肩を濡らす血の熱が、まだ私を繋いでくれる。

 狂気へ落ちて尚、正気を保ち続ける。

 そうでなくては辿り着けない。

 貴方の手を取る為に、そこへ沈んでいかなければならないのであれば。


「一曲踊りましょう。舞踏会は給仕を食べるものではなく、音楽と共に語らい、踊ってみせるものじゃありませんか」


 血の絨毯を踏んででも、私は舞い続けていられるのよ。


    ※   ※   ※


 幼い頃の記憶。

 世界が鮮やかだった頃。

 王国に吹く風は澄んでいて、光の中に王子は居た。


「レティシアっ。こっちだ! 早くっ、捕まっちゃうぞー」

「ま、待ってよぅ……はぁ、はぁっ、走るなんて、慣れて無いの」

「もう、仕方ないなあ」


 戻って来た王子が私の手を取り、再び前を向いて走り出す。

 後ろにはまだ王子の護衛だった頃の騎士団長と、講義をすっぽかされた、今とそう変わらないじーやが追いかけてきている。


 騎士団長は大真面目に追いかけてくるけど、じーやはホホホと笑って髭を擦る。

 あのお髭、弄っているのが楽しいの。

 とっても可愛く結んであげたら、じーやも嬉しそうに笑ってくれて、しばらくそのままでお仕事をしていたわ。


「ほら、ここに足を掛けて、上を掴んで」

「駄目よ、こんな所登れないわっ」

「大丈夫だ。ほらっ、押し上げるぞ!」

「きゃあ!?」


 王子ったら私をお尻を押したの。とてもレディにすることではないわ。それでどうにか壁の上に登って、素っ頓狂な声をあげる騎士団長へバイバイと手を振る。


「行くぞ!」

「っ、はい!」


 また走って、息を切らせて、転びそうになったら手を取られ、そうしてお城の一番高い場所まで辿り着く。

 風が凄くて、王子は私をぎゅっと抱き寄せて支えてくれた。


「ほらっ、良い景色だろう!?」


 だけど私は、景色より貴方のその笑顔に見惚れてしまって、自分のはしたなさに顔が熱くなってしまったの。

 あぁ王子、私は、貴方のことが。


「今度、俺とレティシアとの婚姻が正式に結ばれると父上が言っていた。お前は俺の妻になるんだ」


 本当に、夢のよう。


「共にこの王国を良く治め、民草を愛し、素晴らしい国にするんだ。だからお前にはいつだって俺と同じ景色を眺めて欲しい。大丈夫だ。ここまで登って来たのと同じように、ちゃんと支えてやるからさ」


 えぇ。

 だからこそ。


 私は。


    ※   ※   ※


 貴方の居る深みまで、ゆっくりと、ゆっくりと、慎重に、狂気と正気の狭間を縫って、沈んでいくのよ。


 愛しているわ、王子。




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