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第8章 大浴場からの朝日と石段街

 さすがに寝たのが早いと起きるのも早い。 5時を過ぎた頃にはみんな起きてタバコを吸ったり携帯をいじったりし始めた。 外はまだ暗いが東の空はほんのりと赤みを帯びている。

良介は部屋の窓を開けて外の冷たい空気を吸い込んだ。 想ったほど寒くない。 

「よしっ! 石段上る前に風呂入って温まってくるか。 今から入れば日の出が拝めるだろう」

秋元はそういうと、タオルを肩にかけ風呂場に向かった。

「秋元さんって風呂、好きですよね」

名取りがからかうと、逆に「温泉に来たんだから酔っ払ってるだけじゃあ意味がない」と言われた。

名取が感心していると、井川が口を挟んだ。

「いいから、あいつはほっといてウイスキー入れてくれ」

「えっ? もう飲むんですか?」

「ちょびっとだけだよ。 ちょびっと!」

名取りはあきれながらウイスキーの水割りを作ると、自分も日の出が見たいと風呂場に行った。

続いて良介と小暮も風呂へ行くことにした。

「じゃあ、井川さん、ちょっと行ってきますね」


 東の空がだいぶ明るくなってきた。 そろそろ日の出が拝めそうな雰囲気になってきた。

しかし、良介は長風呂が好きではないので早々に部屋へ戻った。 すると、間もなく秋元も部屋に戻ってきた。

「日の出はどうでしたか?」

「うん、まだ出てないよ。 いいかげん、のぼせちゃったから出てきたよ」

そんな話をしているところに名取りが戻ってきた。

「秋元さん、今上ってきましたよ。 マッサージのところの窓からもよく見えますよ」

「なに!」

秋元は慌てて部屋を出た。

「忙しいヤツだな。 俺は飯の時間までもう少し寝るからな。 お前達は階段でもどこでも勝手に行ってくれ」

井川はそう言うと、再び布団にもぐりこんだ。


 小暮と秋元が戻ってくると、隣の部屋の中川も一緒に行くといって部屋に来た。

「じゃあ、行こうか」

そう言って秋元は颯爽と部屋を出た。

「あれっ? 秋元さん、スリッパで石段登るんですか?」

良介にそう言われると秋元は慌てて引き返した。


良介と秋元、中川、小暮、名取りの5人はホテルを出て石段街の散策に出掛けた。 ホテルを出るとすぐに中川が100円を拾った。

「こりゃあ、朝から縁起が良いなあ」

「いや、これが運の尽きですよ」

そう言って名取が中川をからかった。

 石段に着くと中川と名取りは石段の数を数えながら登り始めた。 観光案内のパンフレットには360段と記載されていたのでそれを確かめると言うのだ。 ところが、途中まで登って来ると、石段が二つに分かれている場所に行き着いた。

「あれっ? これはどっちに行けばいいんだ?」

「どっちも同じじゃないですか?」

「じゃあ、念のために両方とも数えてみろ」

中川にそう言われて名取りは両方の石段の数を数えた。

「中川さん、ヤバイっすよ! 数が違います」

「え~っ! マジかよ。じゃあ、どっちに行こうか・・・」

「どっちでもいいから早く行くよ」

そんな二人をよそに秋元はとっとと先に進んで行った。


 伊香保神社に着くと、みんなで参拝することにした。

「あっ! 俺、小銭持ってないや」

秋元が言うと、中川がポケットから100円玉を取り出した。

さっき拾った100円玉だ。

「これで5人分だ」

そう言って賽銭箱に100円玉を放り投げた。


 帰りは石段を降りずに脇へ入って坂道を下ってホテルに戻った。

ホテルに帰ってくると、もう朝食の時間が迫っていたので、そのまま朝食の会場である昨夜の宴会場へ向かった。

 既に、川島と三井が朝食を食べていた。

良介たちが席につくと、昨夜と同じ仲居さんがご飯をよそって運んできてくれた。 その茶碗が小さかったので名取りは仲居さんに尋ねた。

「すいません、ご飯っていっぱいあるんですか?」

仲居さんはにっこり笑って、頷いた。

「心配しなくてもいっぱいありますよ」

名取りは、満足げに微笑むと5杯おかわりをした。

普段はろくに朝食を取らないのに、旅行に来たときはなぜは飯が美味く感じるものだ。 良介も3杯おかわりをした。

「それじゃあ、出発は9時なので遅れないように集合してくださいね。 それから出るときはちゃんと自分の靴を履いて出てきてくださいね」







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