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第1章 いざ、出発!

会社名、登場人物は仮名ですが内容は実際の旅行の様子に多少の脚色を加えたものです。

1月30日、土曜日。 良介はいつもより早く家を出た。

今日から1泊2日で伊香保温泉に旅行へ行くためだ。



 良介の会社では20人程度の有志による“たま遊会”なる旅行の会がある。

文字通り、「たまには遊ぼう」をモットーにした会である。

 発足時にまずバーベキューを行い、その後は旅行を実施している。

良介はその“たま遊会”の幹事を任されているのだ。



 集合時間の30分前には会社に到着した。

既にバスが到着しており、旅行代理店の沢田の姿があった。

「おはようございます。 晴れって良かったですね」

沢田は良介に挨拶すると、途中で事故渋滞が出ていると話してくれた。

エレベータで7階のフロアに上がってくると、八田が既に来ていてドアの前で何やら途方に暮れている。

「八田さん、早いですね。どうかしたんですか?」

良介の声に振り向いた八田は安堵の表情を浮かべ、照れ臭そうにほほ笑んだ。

「やあ、日下部君、よかった!出かける前に見積もりを見直そうと思って早く来たのはいいけれど、鍵を忘れちゃって困ってたんだ」

「そうでしたか。 今、開けますから。 しかし、この期に及んでまだ仕事をしようなんてさすがですね」

良介は入口のドアを開けて警備を解除した。

八田は足早に事務所へ入っていくとパソコンの電源を入れた。



 集合時間が近づくにつれ、続々とメンバーが集まってきた。

「石山さん、代理店の担当が来ているので一時金の支払いお願いしていいですか? それと、運転手への心付けもお願いします」

石山は“たま遊会”の会計役だ。

「いいよ!」

良介は沢田を事務所に連れて行き、石山に一時金を支払ってもらい、運転手には自分で心付けを手渡した。

「さあ、そろそろみんな揃ったかな?」

「会長がまだ来てないんじゃないか?」

川島がそう言うので、辺りを確認すると、確かに“たま遊会”会長の井川の姿がない。

「もう、来ない奴は置いていこう」

副幹事の中川がそう言うので、良介も頷いてメンバーをバスに乗るよう促した。

石山と江藤、小暮はバスに積み込む酒類を受け取りに近所の酒屋へ向かった。

良介がバスに乗ると、井川は既にバスに乗っていた。

「なんだよ、お前ら遅いぞ。 こういう時にモタモタしてるヤツはダメだな」

何食わぬ顔で平然とそう言う井川に他のメンバーは一斉にブーイング。

「何を言ってるのかね、このおじさんは」

中川がそう言うと、竹山や加東も反論した。

「そうだよ。 会長が一番遅いんだよ」

「あれっ? そうなのか日下部?」

良介は笑って頷いた。

「ええ、もうちょっとで置いて行くところでしたよ」

「そうか。 まあ、こういう時もあるさ」

井川はバツが悪そうに頭を掻いた。

「じゃあ、これで全部揃ったのか? おい、点呼部長、点呼しろ」

点呼係の中川はバスの中を見渡した。

「名取がいないなあ」

「あいつ、まだ上でなんかやってたぞ」

良介は、事務所へ名取を迎えに行った。

事務所へ戻ると名取と浅井が何やら話していた。

本来、浅井も“たま遊会”のメンバーなのだが日曜日に法事があるということで今回はやむなく欠席することになった。

「あれっ? 浅井さん、結局出てきたんですか?」

「今日中に月報をまとめておかないと、やる時間がないからね。 まあ、楽しんできてくれよ」

「ええ、じゃあ、行ってきます。 名取、早くしないと置いて行くぞ」

「それはダメです。 今行きます。 ところで井川部長は来たんですか?」

「ああ、もうとっくにバスに乗ってるよ」

「ええっ!そうなんですか」



 全員バスに乗り込むと、みんなに促されて井川が号令を発した。

「よし、よし。 やっと揃ったな。 じゃあ、乾杯!」

「乾杯? 出発じゃないの?」

今回初参加の秋元がボソッと呟いた。







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