表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/127

第九十五話

毎週木曜日に投稿します。よろしければ読んでみて下さい。

 「夕方には帰るように。きちんと帰れるように、肩に鳥をつけておきます」

ラーカッティア・ヌーは工房の門の前でリオンにそう言った。

「?鳥?」

リオンは肩に乗る小さな小鳥を不思議そうに見た。一見普通の鳥にしか見えない。

「夕方になればわかる事です」

とラーカッティア・ヌーは言うと、ニヤリと笑った。

「カーウェイクは円柱の建物を中心に東西南北の道が引かれています。東は服や装飾品の店、西は酒や煙草などの嗜好品、北は絨毯や家具、武器など、南は食料品などの店がそれぞれあります。まずは東と南に行ってみなさい。比較的安全ですから」

まくしたてるようにそうリオンに説明すると、いってらっしゃいとニコリと笑いラーカッティア・ヌーは彼女から離れて行く。

「・・・・・・」

そう様子をしばらく彼が見えなくなるまで見ていたリオンは、寂しさを奮い立たせて顔を上げた。

「さあ、行くわよ。まずは南に行こうかしら」




「なんて人の多さなの」

リオンは南の食料市場に入り人の多さに酔いそうになっていた。ランドールの人の少なさが懐かしい。ティムレオンの市場もこんなに人が多くなかったのに。

目の前を駝鳥がバタバタと飛んで行く。籠の中は様々な鳥が羽音を立てている。足元には・・・・・・。

「亀?」

リオンはランドールで見た図鑑の中で知っていた亀を見つけて、驚いた。

「食べ物なのかしら?」

あんなに可愛いのに食べるなんてゲテモノ食いなのだろうか。

「亀くん、どこ行くの?おいで」

リオンは一匹の小さな亀を両手ですくい上げた。

「お嬢さん、亀を買ってくれるのかい?」

太った女店主が後ろから声をかけてきた。

「ええ、おいくらですか?」

「そうだね、3ルントでいいよ。そいつ小さいし」

「じゃ、お支払いします」

リオンは3ルントを女店主に渡した。

「じゃ、こいつ叩き潰すよ」

「きゃー!やめてください」

「でも、潰さないと食べれないだろう?」

「食べません!この子は私が飼うのです」

「はあ?亀をかい?」

「そうです」

「変わっているねえ」

「亀は何を食べるのでしょう?」

「そこらへんの野菜くずを与えとけばいいんじゃないか」

「わかりました。ありがとうございます」

「ほれ、あんたのペットだよ」

女店主はリオンの買った亀に布をぐるぐる巻きにして、ちょうちょ結びで飾ってくれた。

「可愛い。ありがとうございます」

リオンは笑顔で女店主に礼を取ると駆け出して行った。

「食べたほうが美味しいのにねえ」

女店主は、そのリオンの後ろ姿を、不思議そうな眼差しで見送った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ