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第九十一話

毎週木曜日に投稿します。よろしければ読んでみて下さい。

 「掃除終わりました」

少し鼻息が荒くなった声で、リオンはフクシュマーに声を掛けた。

「ああ、終わったかい。じゃ、仕事部屋に行こうか。絨毯の織り方の基本を教えるよ」

ついてきて来なさい、とリオンにそう言うと階段の方へと歩き始めた。

「ここで教える織り方は本来、門外不出なのさ、だから、仕事部屋は地下にあるんだよ」

階段を降りながらフクシュマーはリオンにそう教えた。

「ここが、あんたの作業場」

フクシュマーは部屋の前の方にある壁と椅子が置いてある場所を指し示した。皆、壁に向かって椅子に座って作業しているようだ。

そこには壁にかけられた織機に縦糸が通されており、いつでも絨毯を織れるように準備されていた。

「ここに座るんだ」

リオンが椅子に座ると、後ろからクスクスと笑い声が聞こえた。

「・・・・・・」

声で、あの食堂で同じテーブルで食事した二人組の女の子達だと想像できた。リオンは気分を害したが気にしない様に務めた。

「縦糸は既に織機に通してあるから、横糸を細かく通していくだけさ」

ーさあ、教えるよ。フクシュマーはリオンに本格的に教え始めた。

「縦糸二本を結びつけるのが基本だ。縦糸二本の前に糸を通して後ろに回して二本の間から糸を通す。二本の縦糸の間に糸が出るようにする、これが基本だよ」

彼女はリオンに縦糸の間から出ている横糸を引っ張るように伝えた。糸は小さな色を付け

て縮まった。

「これをナイフで切って、ほら一目が作れた」

フクシュマーは、デザインされた方眼紙を見せた。花の模様のデザインだ。

「この方眼紙の通りに一段結び目を作ってみな。紙の柄一本目が縦糸二本分だよ」

「はい」

リオンは頷くと言われた通りに一段結び目を作った。

「よし、上出来だ。このフミノという細い糸で数段横糸を織るよ」

横糸を織ると結び目が締まって見えた。

「絨毯織はこの作業の繰り返しだよ。この方眼紙でデザインは決められているから、この通りに織ればいいんだ」

さあ、続けて織ってみるといい、とフクシュマーに指示されたリオンは、花のデザインの織物を二時間で織ってみせた。

「なかなか筋がいいね」

フクシュマーはリオンの初めての織物に満足そうに頷いた。

「ありがとうございます」

リオンは自分の織物が予想より出来が良い事に嬉しそうだ。

「この織物は、あんたの最初の一歩だよ。後で織機から離して、仕上げて渡すから、大事にしなさい」

「はい、ありがとうございます」

リオンは織物が意外に楽しい事に気付き、ここに来て初めて心から笑った。

そうして、リオンは絨毯職人の道へ確実に進んで行き、二か月ほどが過ぎようとしていた。


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