第八十六話
毎週木曜日に投稿します。よろしければ読んでみて下さい。
「さあ、リオン。私の後に続いて」
ラーカッティア・ヌーはリオンの震えに気付かず声をかけてきた。
「・・・・・・はい」
リオンは声の震えを最小限にする事を気を払いながら答えた。
「寂しいかね?」
「・・・・・・いえ」
「寂しかろうな、それでいい。寂しいまま修行を続けなさい。心をここに置いてはいけない。ここは長居するところではないからね。彼らの帰りと同時に修行が終わっていたら良い」
ラーカッティア・ヌーはそう言うと、ある建物を指差した。少し背の高い円柱の建物だ。
「あれが、君の修行場と生活する場所だよ。フクシュマーという寮母さんに世話になりなさい。彼女は機織りも教えてくれるよ。あそこは、君と同じくアリスタジオールに入りたくて修行しているものばかりだよ。仲間がいるね」
「そうですか、仲間ですか」
リオンは仲間という言葉に反応したが、隠し事をしている身に仲間を作っている余裕があるのだろうかと暗い気持ちになった。
「さあ、行こうか。君の修行が始まる場所へ」
ラーカッティア・ヌーはリオンの手を取ると、円柱の建物へと彼女を連れて行った。
円柱の建物はリンダイという名で、修行場という意味だとラーカッティア・ヌーが教えてくれた。
「ちょっと中を見てみるかい?」
ラーカッティア・ヌーと中を覗いたリオンは、そこで二十人くらいの人だかりを確認できた。リオンと同じような年齢の者が多いように感じた。
「昼休みの最中だね。ちょうどいい、皆に挨拶をしようか」
ラーカッティア・ヌーは戸惑うリオンをリンダイの中へと引っ張って行った。
「やあ!皆さん元気ですか?今日は新しい修行者を連れて来たよ」
そう言うとリオンの顔を覗き込んで嬉しそうに笑った。
「名はリオン。皆さん仲良くしてやってください。さあ、リオン挨拶を」
「リ、リオンと申します。皆さんよろしくお願いします」
リオンは内心焦りながら挨拶をした。・・・・・・変に思われていないだろうか。リオンはチラッと皆の顔を窺った。
「よろしく・・・・・・」「どうも・・・・・・」
と返す言葉は少なめで、どの人も愛想の無い対応だった。パラパラと自分の席へと散って行く。
・・・・・・こんな所一年も気が持つかしら。リオンはここでの生活に不安を覚えた。




