第八十二話
毎週木曜日に投稿します。よろしければ読んでみて下さい。
「・・・・・・」
―日中の熱さは変わらずリオンの喉を乾かせる。彼女は前を行くアイン・フォードの動きを見た。しかし、水を飲む気配が無い。
「我慢、我慢」
まだ、彼は飲まないようだ。リオンもまだ耐えられる喉の渇きだ。昨日はこの段階で水を飲んでしまっていた。まだまだ甘いわね、私は。リオンは自分の行動を恥ずかしくなっていた。
「・・・・・・」
しばらく砂漠の道なき道を歩いて行く。リオンはアイン・フォードが口を閉じ布で覆っている事に気付いた。
―口を閉じなきゃ。水分が無くなりやすいわ。
それは口の渇きを増していく行動だった。リオンはそんな事にも気をかけていなかったと反省した。
「・・・・・・」
それにしても、まだ飲まないなんて辛抱強いのね。リオンはアイン・フォードが、水を飲まないのではないだろうかと、やきもきした。
「―・・・・・・!」
リオンは後ろから手を引く気配に驚いた。
「イリス・・・・・・どうしたの?」
イリスは水筒を持って姉に水を飲むようにと指示したのだ。
「でも、まだアイン・フォード様が・・・・・・」
と彼の方を見ると水をほんの数量飲んでいるではないか。
「飲んでるわ!・・・・・・じゃ、私も飲むわ。ありがとうイリス、教えてくれて」
―そうか、あの間隔で飲むのね。それも考えた数量で。
「・・・・・・」
良かった。これで足手まといにならない。
リオンは安堵し、前を行くアイン・フォードを見た。どのような間隔で水を飲む事などを教えてくれる人ではないとリオンは理解しているつもりだ。
―アイン・フォード様はいつも先を見ている。私達よりずっと高度な視点で物事を考えている。だから、私達に対して細かな指示が無いのだわ。
「・・・・・・」
代わりに私にはイリスが指示してくれるみたいね。リオンは後ろの弟を振り返った。
「?」
イリスが不思議そうな視線を投げかけた。
「何でもないわ」
そう言うとリオンは前を向いた。




