第八十一話
毎週木曜日に投稿します。よろしければ読んでみて下さい。
「―豚の塩漬けを乾燥したものです。あと固く焼いたパンです。食事はこれだけです。我慢していただく事になります」
アイン・フォードは、そう言うと布の上に食べ物を一人分ずつ置いていく。
「砂漠では食事も我慢なのですね」
リオンは少ない食事に溜息を吐いた。
「申し訳ありません」
「いいえ、謝らないで下さい。これも、仕方ない事です。さあ、いただきましょう」
リオンは固いパンに手を付けた。
「―・・・・・・」
見た目以上に固いパンは、なかなか噛み砕けない。口の中の水分が無くなり、リオンは豚の塩漬けを口にした。今度は引きちぎる事が困難になった。塩漬けを口にした事で、しばらくすると喉の渇きを覚えた。
「―・・・・・・」
食べ終わると今度はお腹が鳴った。少ししか口にしていないのだ、どうしようもない事だ。
「・・・・・・横になって体力を温存した方がよろしいかと思います。今日は早めに眠りましょう」
アイン・フォードはそう二人に声を掛けた。
姉弟は頷き、彼の言葉に従った。
「・・・・・・寒い」
リオンのマントが時折、風で飛ばされそうになる。彼女はしっかりとマントを抑えて耐えるしかなかった。小食で、お腹は減り、身体は冷たい。けれども、リオンの心は弾んでいた。未知の体験に新鮮さを見出しているのだ。明日はどんな事が待ち受けているのだろう。
―ああ、明日が楽しみって、すごい事なのかもしれないわ。
リオンはイリスを自分の肩に寄せ、なるべく弟が寒くならない様に、暖を取った。
―あの向こうの空の下には何があるのかしら。
リオンはそんな事を思いながら、眠りについた。
「―昨日の夜とは全然違う風景ね」
砂漠の上の晴れ渡る空にリオンはそう吐露した。
「今度こそ水の量を見極めるわ」
自分の飲み水が無くなった時、アイン・フォードとイリスは、人にあげられる程、水が余っていた。きっと何かコツがあるに違いないとリオンは思ったのだ。
―今日は音を上げずにいきたいわ。
「さあ、行きましょうか」
アイン・フォードが声をかけてきた。
―頑張らなきゃ。
リオンは大きく頷くと彼の後を追った。




