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第六十一話

毎週木曜日に投稿します。よろしければ読んでみて下さい。

 「―もうそれも過去の事、この地に留まっていたエリアンは、全て外の世界に旅立ち、帰らぬ者へとなってしまった。残った者は長と私、二人のみ。もうあの森にエリアンは存在していません。あの森は我らの手を離れ、人の手に渡るでしょう。過去の古い種族と同じように我らは、この世界を去る時が来たのです」

そう語る彼女の表情は長い呪縛を解かれたもののように、何処か喜びにも似た色を浮かんでいた。哀しいものは何処にもなかった。

「―この地の他に我らの種族が一人、ある力を守る為留まっていた土地がありました」

「・・・・・・」

イリスは、こくりと頷いた。

「そう、イシュマールが向かった土地。そして、あなたが見つけた少女が元いた場所。

―リイン・カラドル。あなたはいつかその地に辿り着かねばなりません。かの地には、クインという森の(エリアン)が一人おりました。その地に眠るものを呼び覚まさぬように、都度、詠唱し続けるのが、彼女の役目でした。ランドールに眠るものと同じように、リイン・カラドルにも力ある言葉が必要だったのです。彼女の声によってリイン・カラドルは守られていました」

ソルヴェイグの美しい声は微かに曇りながら話は続く。

「しかし、ある時”闇”が彼女の元に現れ、その力を奪おうとしました。クインは自身の使い手ダルモンに力ある言葉の三つ、力を解放する言葉と治める言葉、そして、封じ込める言葉を伝え、イスターテに向かわせたのです。そうして、クインは自身の喉元から身体を切り離し、自ら死を選びました。“闇”にとって欲しいものはクインの声そのものだったからです。彼女は死を選ぶことで”闇”の手から、その力を守ったのです。この事はあなたが会った少女のダルモンより知らされたものです。しかしクインが、本当に亡くなったのかまでは確証はありませんが・・・・・・」

ソルヴェイグは少し眉をひそめた。

「イリス、あなたの中には、そのどれかの言葉が存在するのです。彼女の使い手は、あなたに伝える事で自分の役目を終えました。あなたが少女だと思った者も人形なのです、イリス。そう、人や鳥などが精巧に作られたものを、生み出す文明を我らは持っていたのです。そして、“闇”も、ダルモンを使える者たちなのです。あなたが見た黒い鳥も彼らのダルモンです。我らが居なくなれば、ダルモンと呼ばれる全てが、”闇”の使い手となります。イリス、彼らの目に気を付けなさい。声はなくとも”闇”はあなたを見つめています」


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