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第五十七話

毎週木曜日に投稿します。よろしければ読んでみて下さい。

 「イリス!」

リオンは草地に降り立つと、黒い小屋の方へ駆け込んで行った。

「・・・・・・」

アイン・フォードは馬上で一人、辺りの霧の濃さに顔をしかめた。

―ここで、これほど濃い霧が立ち込めているのはどうしてだ?

「アイン・フォード様!」

リオンが小屋から出てきた。

「―イリス!イリスが居ないのです!」

そう叫ぶリオンをアイン・フォードは片手で静かにするように指示をした。霧の中から途切れた声が聞こえる。

「―トマ!どこに居ますか?!」

そうアイン・フォードが呼び掛けると右の方から少年が駆けてきた。

「アイン・フォード様!イリスの姿が!」

彼の表情は、イリスに最悪な事が起こっている事を告げていた。

「あなた、イリスとよく遊んでいた商人の子よね?確かトマだったかしら」

「そうです、トマ・イスアと申します」

「イリスは?何処に行ったの?」

「僕が悪かったんです。僕がちゃんと小屋に居るように伝えていれば・・・・・・」

「―静かに」

アイン・フォードは再び沈黙を指示した。風の音の中切れ切れに彼の耳に声が届く。

「トマ、ソルヴェイグは?」

「先程、僕の所からイリスを探しに行きました」

―手綱を握ったアイン・フォードの手が動く。

「待ってください!私も行きます」

リオンが前へ進み出た。

「・・・・・・あなたは、トマとここに居て下さい」

アイン・フォードはそう静かに言うと、リオンを振り切るようにティルロードを走らせた。

「アイン・フォード様!」

尚も彼の後を追うとするリオンをトマが片手で止めた。

「この霧の中は危険です。一緒にここで待ちましょう。・・・・・・せめて、ここでイリスが帰って来るのを」

リオンはトマの手を振り払い霧の中へと入ろうとした。

「駄目です。僕はそうやって、あなたの弟を見失ったんです。お願いだから小屋に居て下さい」

「教えて、どうしてイリスを見失ったの?危険なのに外に出たりしたの?」

「・・・・・・イリスは、僕を疑って怖がったんです。一緒にいると襲われないか怯えていたのです。僕が“闇”の者だと思って怯えていた。どんなに説明しても信じてもらえなかったのです。最後にはようやくわかってもらえたと思うのですが。どうしてイリスはあんな風になってしまったのだろう、以前は人を疑うなんてところ一つも無かったのに・・・・・・」

トマは悲しそうに言葉を吐き出した。

「私のせいだわ」

リオンは彼のその言葉を聞いて、目を閉じ苦しい表情をした。

「どうかしましたか?」

「・・・・・・私のせいなの。私の不安がイリスを惑わせたのよ。あの子が大切にしていたものを目の前で崩すような事をしてしまったの。あの子をそのように追いこんだのは私、私なの」

リオンはそこまで一気に言うと、地面に膝をガクリと崩れ落とした。

「・・・・・・大丈夫ですよ、イリスは。アイン・フォード様がきっと見つけて下さりますよ。だから、彼を信じて小屋で待っておきましょう」

トマはリオンを支えるように彼女を立ち上がらせようとした。その時彼らの耳に声が響いた。

「そう自分を責める事はありません」

彼らが顔を上げると、霧の中から白い服の裾が揺らめくのが見えた。

「・・・・・・あなたは!」

目の前の霧が晴れたトマの視線の先に、銀の髪を持つ女の姿がそこにあった。


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