表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/127

第四十八話

毎週木曜日に投稿します。よろしければ読んでみて下さい。

 イリスは自分の進んでいる方向が、もしかしたら、ランドールの方向なのでは?と不安に思ったが、頭を振った。それは危険だ。だが、簡単に故郷に帰る道術は無いだろうとも思った。

―このまま、森を彷徨い続けて死ぬことになるかも。

それでも力の続く限り森を進まねばならない。イスターテに続くネックレスの粒は、見つからない。いつしかイリスは光のある方へと足を進めていた。暗闇は人を暗くする。―とにかく光へ、光のある方へ。

「・・・・・・」

すると、何処からか水の流れる音が微かに聞こえてきた。

「水の音だ」

イリスはその音の源の方へと歩き出した。木々の間の向こうに、白く滲む光と共に水の流れる音が大きくなってきた。イリスが木々を通り抜けると、視界が開けて青空が見え、その下には白い石の坂が川に沿って続いていた。

―確か、来る時に大きな池が森にはあったっけ

イリスは坂の上を見上げた。上の方に行けばあの池の方へ辿り着けるかもしれない。しかし、あの場所には“闇”の影が、まだあちこちに居そうな気がする。

「・・・・・・」

イリスは川下の方へと歩き出した。”闇”に捕まる事だけは避けなくてはいけない。イリスは頬や額に張り付く汗を拭った。混乱した心は今は冷静な判断力を僅かに取り戻しつつあった。かなりの距離を歩き続けた。リオンのいる場所も、イスターテに行く方向もわからない。何とかこの森を抜けさえすれば。森さえ抜ければおそらくトマ・イスアら商人達がいる場所があるかもしれない。自分の勝手な想像でしかないが、そこに辿り着けば何とかなる。川下の方向に森の抜け道がある可能性をイリスは見出した。

「・・・・・・」

それにしても、この道を進んで正解なのだろうかと自身の判断に不安は隠せない。それでも諦めて、ただじっとしているよりましだと思った。それに早く助けを求めなくては。

「姉さま」

イリスは置いてきた姉の事を思った。どうして一緒に逃げる事をしなかったのだろう。彼女を”闇”の者とに置いて逃げてしまった自分を激しく後悔していた。姉を助け出せるなら助け出したい。その為にも自分に助力が必要だった。

―何て力のない子供なのだろう。あの時姉さまを置いて逃げ出したのだろう。姉さまを助け出して二人で逃げればよかったのに。僕はただ怯えて逃げてしまった。僕がもう少し大人で、もう少し勇気があれば、姉さまに庇われる事なく、彼女と一緒に逃げれただろうに。姉さまは彼から逃げ出す事が出来ただろうか?

「―僕に知恵と勇気を下さい。もう二度と間違いを起こさない様に」

イリスは心から願った。商人を探すまで歩みを止めない様にしなくては。彼はうんと頷き歩き続けた。

「・・・・・・」

しばらく歩き進めた先の方から、次第に水の量が増しているように感じた。音からするとこの先に川が大きくなっているようだ。イリスは足を進めた。彼の足元に沿って流れる小川の向こうに更に大きな川が合流していた。イリスは川の水辺に立ち、その川の水に触れてみた。雪解け水の青い色に手を浸すと、その冷たさに指の芯まで冷えた。それでも彼はこの水に触れてみたいと思った。この川はランドールのリュシオン川に繋がっているかのように思えた。この川の水はリュシオンと同じ青色をしている。イリスはこの川に触れて少し生き返ったかのように思えた。もう少しここで休みを取りたかったが、イリスは諦め先を急ぐことを優先した。自分には時間が無い、手にかかった水を振るうと勢いよく立ち上がった。イリスが歩き進めるほどに、水の量は増え向こう岸まで、歩いて渡るにはかなり困難になってきていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ