第四十五話
毎週木曜日に投稿します。よろしければ読んでみて下さい。
「ソルヴェイグ!」
アイン・フォードは空を見上げ彼女の名前を叫んだ。
「・・・・・・」
すぐに、ソルヴェイグの羽ばたく音が聞こえてきた。アイン・フォードはその音のする方向へ駆け出し彼女に声を掛けた。
「ソルヴェイグ、ティルロードをここへ呼んでくれ。そして、イリスを探して欲しい。彼は森の奥へ迷い込んでしまったのだ」
彼の呼びかけが聞こえたのかヴァーというソルヴェイグの鳴き声が森の奥から返って来た。アイン・フォードはリオンに馬に乗る準備をするように指示すると、砂の様なものを辺りに蒔き始めた。
「何をしているのです?」
リオンがアイン・フォードから受け取った布に紐を探して括りつけながら訊ねると「目くらましのようなものだよ」と答え、アイン・フォードは続けて急ぐように何かを詠唱し始めた。
「・・・・・・」
リオンは、その間旅の荷物などを纏めながら、自分なりの祈りを呟いた。祈りの間も自分の行動に対する後悔の念が現れ、リオンの表情は曇った。
「―」
馬の嘶きに顔を上げると、そこには自らの白さで滲む、美しい白馬がそこに存在していた。鬣は微かに黄金に近い淡い色をしており、その下でリオンを見つめる瞳は悲しいほど純真な色に輝いていた。
「何て美しいのかしら」
詩や伝説に歌われてもおかしくない程のその馬の知性と風格に、リオンは只々圧倒されてしまった。
「ティルロード、おいで」
アイン・フォードは白馬の頬辻に顔を寄せるとリオンに出発を促した。
「それじゃ、行くぞ。大丈夫か?」
アイン・フォードは、後ろで自分の腰に手を回すリオンに確認すると、ティルロードの腹を蹴って自分達を前へと押し出した。




