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第三十三話

毎週木曜日に投稿します。よろしければ読んでみて下さい。

 一行は再び森の中を進んだ。その道行は昨日と違い、穏やかな光の中で、その風景をゆっくりと時間をかけて歩むものだった。

イリスは足元に広がる苔の青さと、目の前に幾千と並ぶ巨木の群集の姿に、感嘆の表情で見た。

こんなにも美しい道が森の中にあったなんて・・・・・・。木々の間に漂う涼やかな香りは、相も変わらずイリス達を取り巻いている。昨夜、彼らが泊まった木の下を離れても、この道は最初の木と同じ空間を保ち続けている。

―これが本当の森の人の道なんだ。イリスはそう確信していた。

巨木の木の影はイリスの遥か天上を行き、その葉陰より落ちる光はイリスの周りで白く滲み留まる。苔に覆われた道は岩や石を柔らかく包み、青い絨毯を連想させた。

昨日の怖い影に襲われる心配は何もなかった。森の人の道は”闇”を寄せ付けない明るさと神聖さがあった。イリスは心から安堵していた。彼らは時折アイン・フォードが摘んでくる木の実をつまみながら何度か足を休めた。

それは夢のような時間だった。恐怖で硬かった二人の表情から笑顔が戻り、道行く声は静かなる森に軽やかに響いた。


ザイオンの子ハイドロン。名付けられたのに消えて行った。

消えたと思ったら又現れた。次の名前はヒューリエン。名乗った時には姿が見えない。

イリジュメ、カアンドロス、スラエルド、レピニオン。名前は星の数ほど持った。

けれど、誰も見つけてくれない。可哀想なハイドロン、ヒューリエン、イリジュメ、カアンドロス、スラエルド、レピニオン

消えたのはだあれ?消えたのはどこ?


イリスとリオンは二人で、ランドールでよく歌った遊びの歌を口ずさんだ。この歌詞の意味はよく分からないが、子供たちの間で流行った遊びの歌で、よく歌われていた。イリスはこの光の中だったら、疲れは存在しないんじゃないか、と思うくらい気力に満ち溢れていた。道行は岩がごろごろして、決して平坦とはいえない険しさだったが、声高らかに歌う歌のリズムに合わせ、歩調は昨日の倍程早く感じられた。


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