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第二十八話

毎週木曜日に投稿します。よろしければ読んでみて下さい。

 明けの日が森の上に上がる。

リオンは傍らで静かに眠る弟の息を聞きながら、部屋に入って来る朝の光を向かい入れた。永遠と思われた夜は終わりを告げたのだ。彼女は弟が眠りについた後は、一晩中窓の外を眺め過ごした。ランドールでの最後の時を眠ることなく、見つめておきたかった。いつもは夜の闇を消し去る希望とも思える朝が疎ましい。今のリオンにとって別れの時を知らせる残酷な光でしかなかった。

・・・・・・今からこの光は自分の生命の灯の確認の光となるのかしら。眠りにつかねばならない闇染まる夜を無事に過ごせたと。毎日のように朝日を待つ日々が今から始まるのだ。

「負けないで、私」

リオンは真緋の光の中で、じっとその事実を見つめ、旅行く自分に力を入れた。

しばらくして、アイン・フォードが部屋の中に入って来た。

「―・・・・・・」

音もなく戸口より入って来た旅姿の学士は、初めてこの国に来た時のように、獣の臭いを漂わせていた。

「イリス」

リオンはイリスを揺り起こし、部屋着を脱がせ、マントを羽織らせ、荷袋を持たせた。二人は部屋着の下にいつでも出ることが出来るよう旅の服装を着ていた。リオンは急いで部屋着を脱ぎ去るとドアで待つ彼らの後に続いた。




 冷たい空気の中、朝の光は朝靄に沈むランドールの街を真紅色に染めていく。三人は立ち止まることなく、朝の朧気な街の影を通り抜け、森の入り口へとたどり着いた。二人はそこから見下ろすランドールの国を振り返り、この国のいつもの日常を完全に取り戻す前に、その場を立ち去った。

最期に見たランドールの景色は、朝の光に縁どられ、白い霧の上に、灰色のウィッツランドの高塔は長い影を落としていた。その姿は、いつも見ていた花園の中に立つ母の姿と共に旅行く間の二人の心の支えとなった。




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