第二十三話
毎週木曜日に投稿します。よろしければ読んでみて下さい。
「“闇”をご存じですか?」
アイン・フォードは口早に、その言葉を教え子である彼らに投げつけた。彼は、あまりその言葉を使う事を意識をして避けているようにも見えた。
「・・・・・・」
リオンはその言葉を聞いた途端に心がざわつくのを感じた。書物の中幾つか名が出てきた形なき恐怖―そのものに憑りつかれると死ぬとそう記憶している。その存在を知ったのは、イリスと同じ年だったと思う。その日は怖くて眠れなかった事だけが印象として残っている。
「―ええ、人の心の隙を狙い、その心を乗っ取り操ると聞いています」
リオンは震えながら、そうアイン・フォードに答えた。
「それがこの国に近付いているのです」
「そんな・・・・・・あんなものが本当に存在するのですか?物語の上でしかないでしょう?」
「月夜にあなたはその姿を、その揺らぎを影の中で見たはずです」
アイン・フォードの言葉に、リオンはあの祭りの晩の事を言っていると気づいた。
―あの影の濃い夜・・・・・・暗闇の下で揺らぐもの感じた、かもしれない。・・・・・・しかし、あれが”闇”と呼べるものなのだろうか・・・・・・彼女は単なる目の揺らぎとしか思っていなかった。それよりも、アイン・フォード自身の方が”闇”だと思っていた。
「・・・・・・あれがそうなの」
「―影を渡るもの、黒きものに付きまとうもの、それが”闇”・・・・・・ここでは”それ”と言いましょうか。“それ”の習性なのです」
「それらはランドールをどうして近付くのです?」
「ランドールが守り続けたもの、それは“それ”の手から守るものでした。それは先程伝えた通り世界を変える最大のもの。それを手に入れる為に、彼らはずっとその場所を探し続けた。彼らは見つけてしまいました。ランドールは”それ”の手に落ちるでしょう・・・・・・」
「どうすればいいの?守る手立てはないのですか?」




