第二十一話
毎週木曜日に投稿します。よろしければ読んでみて下さい。
「―また居る・・・・・・気味が悪い」
窓辺に立ち外を眺めていたリオンは独り呟いた。彼女の視線の先には丘に立つ一人の影があった。今は小さな影がひとつ増えている。おそらく彼女の弟イリスだろう。アイン・フォードがあの場所に立つところをリオンは幾度も目にしてきた。薄い茶色の髪の下にある鋭い眼光。
(本当に何者なのかしら・・・・・・)
あの祭りの夜、リオンの口から滑り出たあの問いは、意外にも真実に近い事なのかもしれない・・・・・・。あの夜に起こった出来事をアイン・フォードに訊ねる機会は、あれ以来なかった。リオンは彼にあの時の事に関して問い詰める気持ちより、あまり彼に近付きたくない、その感情の方が強かった。その事実を自覚していたリオンは彼―アイン・フォードに感じるこの感情を言い表せないでいた。アイン・フォードに感じる不安を伝える相手はすでにいない。リオンが最も信頼する学士イシュマールは、あの夜の翌朝彼女には何も告げず旅立った。弟が言うには遠い所に行ったので、帰る日も先の話になると。
―イシュマール様さえ居て下さったら・・・・・人々が知恵の源として頼りとするイスターテの学士はランドールではもうアイン・フォードしかいない。疑問に思う事はたとえ不気味な存在であっても学士であるアイン・フォードに聞くしかないのだ。それ以外にあの出来事を理解する手立てはない。リオンの知る限り一番の知識を持つ者は学士なのだから・・・・・。
(今日は学士より知識を賜る日・・・・・)
心を決めて学士に聞かなくては。リオンは学士が来る書物の間へと向かった。




