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第百十四話

毎週木曜日に投稿します。よろしければ読んでみて下さい。

 「ここの門をくぐると、アリスタジオールです」

洞窟の大広間から歩いて、夕方に差し掛かる頃に行く手に、大きな銀色の門が阻まった。

「これが、アリスタジオールの門ですか?」

リオンは自分の何倍もの大きさの門に、たじろいてしまった。

「ええ、そうです。さあ、門を開けてもらいましょう」

アイン・フォードはどこからか小さな笛を取り出し、それを鳴らした。

「その笛はなんですか?」

「アリスタジオールに入る為の笛です。この町を行き来する許可を得た人しかもらう事が出来ない大切なものです」

「そうなのですか」

笛は銀で出来ている以外珍しいものではなさそうだが、その音色は確かに聞いたことの無い音だった。

―しばらくするとギギギと音を立てて門が開き始めた。

ガシャン!門は大きな音を響かせ完全に開け切った。

「じゃ、行きましょうか。アリスタジオールへ」

アイン・フォードはそう言うとアリスタジオールへと入って行った。

「うわあ・・・・・・」

アリスタジオールは白銀の世界が広がっていた。雪が被さっている建物の低い煙突屋根は金と銀に所々飾られて雪の合間からキラキラとしていた。屋根の下では柔らかな灯りのもとで、様々な商品が出回り、人々はそれを求め所狭しと賑わっていた。

「お姉さん、熱々のチェダーンはどうです?温まりますよ」

リオンが目を輝かせながら街を歩いていると、温かい飲み物を売る売り子が声をかけてきた。リオンは足を止め、売り場から漂うチョコレートの匂いに鼻を動かした。

「いい匂い美味しそう」

「温かいチョコレートの飲み物ですね。飲んでみますか?」

「いいんですか?」

「ええ、よく頑張ったご褒美に」

「ありがとうございます」

リオンはアイン・フォードの優しい言葉に心から喜んだ。

「チェダーンを三つ下さい」

「あいよー!十五ルントね!」

売り子は元気よくそう言うと、早業でコップにチェダーンを注ぎアイン・フォード達に手渡した。

「・・・・・・温かいわ」

リオンは冷えた指先に飲み物の温かさがじんわりと伝わるのを感じてホッとした気分を味わった。ふうふうと息をかけて飲んだチェダーンは甘くてとろけてしまうほど美味しかった。チェダーンで身体を温める彼らをよそに、街中の人々はせかせかと商品を求め歩き回っていた。


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