第百十三話
毎週木曜日に投稿します。よろしければ読んでみて下さい。
「何て大きな広間なんでしょう。洞窟でこんなにも大きな場所があるなんて」
家三、四軒は軽く入りそうな空間にリオンは驚いた。鍾乳石が自然の装飾品のようで豪華に感じる。
「ここで一晩過ごしたら、明日ようやくアリスタジオールに辿り着きます。長い旅も終わりますね」
アイン・フォードはそう言うと微かに笑みを浮かべた。
「そうですね」
リオンはその微笑みに少し胸をときめかせて答えた。
―砂漠の旅の時は少し厳しかった気がするけど、今はとても穏やかなのね・・・・・・。こんな風に接してくれたら物凄く嬉しいわ、リオンは彼の優しさが見えるのが心温まる気持ちでいた。ずっとこのまま彼の側にいれたらいいのに。私はアリスタジオールが最後の旅の終着点だと聞いているけど、イリスやアイン・フォード様は違う気がするわ。彼らはこれからも旅を続けるのだわ、きっと。
「これを食べたら、横になって下さい。疲れを溜めない様に」
アイン・フォードが炙った干し肉とパンをリオンに手渡してきた。
「わかりました。ありがとうございます」
リオンは焚火越しにアイン・フォードを見た。イスの地の森の中で彼が見せた恐ろしい瞳の色がリオンの脳裏に甦って来た。
―あれは、彼の中に何かが存在しているかのようだったわ。彼は本当に何者なのかしら少し怖いわ・・・・・・。それでも、あの水色の澄んだ瞳に引き寄せられそうになるわ。あの瞳に見つめられたら私・・・・・・。リオンは食事を済ますと、焚火の側で横になり、様々な思いが浮かび上がるのを、目を閉じる事で封じ込めて、無理やり就寝に着いてみせた。




