第百一話
毎週木曜日に投稿します。よろしければ読んでみて下さい。
「―暑い。戻るにしても、もうどこに街があるのかさえもわからないわ」
リオンは砂漠の真ん中で行くべき道を見失っていた。道しるべとなると思った動物の骨は見つからなかった。
「このまま、死んでしまうかもしれない」
リオンは暑さで歪んで見える砂丘に心が折れていた。カーウェイクの街を出たのがいけなかったのかも。でも、あのまま工房に居たら、殺されて食べられてしまうのよ?それだけは嫌だわ。このまま砂漠に殺されて砂の中で埋もれた方がましよ。そう、私は死んでしまうわ。でも、後悔は無いわ。でも、もう一度会いたかった・・・・・・あの人に。
「・・・・・・」
リオンは砂漠の中で岩陰を見つけた。
「―あれは、彼が水を汲んだ岩陰」
リオンは見覚えのある岩陰に心弾んだ。岩陰に駆け込むと水に溢れる水瓶に水を貪った。
「ああ!生き返る!」
あまり多くない水の量だったが、リオンは感謝した。
「・・・・・・」
飲めるだけの水を飲んで少し冷静になった。
―ここは砂漠を歩く人の為の貴重な水瓶です。他の人の為に水は控えめに使って下さい。
彼の言葉が浮かび上がる。
そうね、あまり使ってはいけないわ、皆のものだもの。・・・・・・もっと早く思い出せていれば、良かったのに、私ったら水をがぶ飲みしてしまったわ。
「・・・・・・」
リオンは、すぐに、ここを離れなくてはいけない事を理解した。しばらくここに居ても、仕方ない事だ。ここには水しかないのだから。
―前を進もう。水瓶に水を残せるくらいの水を汲んでおこう。この水で、また水が汲めるところに辿り着けるかもしれない、僅かに希望が見えたわ。
「・・・・・・」
リオンは少し息を吐くと又砂漠を歩き始めた。
「彼女がこの街からいなくなっただと?」
ラーカッティア・ヌーは驚きでその情報に目をむいた。
「ああ、次の王に彼女に特に注意しておいてくれと言われていたのに!王に殺されるよ私は」
彼はそわそわと身体を震わせ頭を抱えた。
「砂漠へ行け!彼女を探すよ!必ずここへ戻ってもらわなきゃね」
ラーカッティア・ヌーは彼の部下と彼の小鳥に命令して、砂漠へと彼らを放った。
「ああ、無事に見つかりますように」
彼が祈りを捧げる横顔に声を掛ける二人組がいた。
「ああ、あなた方は・・・・・・」
ラーカッティア・ヌーは、ほう・・・・・・と息を呑んだ。




