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第九十九話

毎週木曜日に投稿します。よろしければ読んでみて下さい。

 リオンとアラファント・イージスが一緒に共にいた時間は意外にも短いものだった。リオンは工房でとある部屋の前で恐ろしい事を聞いてしまい、アラファント・イージスは次の街へと旅立たなくてはいけなかった。彼女達のすれ違いは運命によってあらかじめ決められていたのかも知れなかった。

まずは、リオンの起こった事から始めよう。彼女は、いつものように、工房で絨毯を織っていた。その時に微かに聞こえたのだ。彼女が恐れる言葉を”イスの地“と聞こえた。

「・・・・・・」

リオンはぞっとした。私の事だろうか。誰かが言ったのかはその笑い声で想像できた。いつも私を見て笑っている彼女達だ。

「・・・・・・」

リオンは冷静さを保ちつつ、彼女達の言う事を一言も漏らさずに聞くことに集中した。

「彼女はイスの地の人」

「血肉を差し出せばお金持ち」

微かに聞こえるその声は自分の事を言っているのだろうか?他の誰かの事かもしれない・・・・・・リオンはそう思いたかった。

その日は自分の想い過ごしだとリオンはそう思い何も動く事は無かった。

―ああ、アラファント・イージスに相談できたらいいのに。

リオンは不安で眠れぬ夜に何度思った事だろう。

次の日、彼女はいつもの通りにアラファント・イージスと会ってから工房に戻って来た時に、とある部屋の前で不意に耳にしたのだ。最初は微かにしか聞こえなかったが“それ”ははっきりとこう言ったのだ。

「―イスの地の者だって!これで腑に落ちたよ、ただものじゃないと思ってたんだ。そうか、イスの地出身か、リオンは」

「どうする?殺して血肉を食べてみる?」

「もう少し黙ってみてみようよ、あの子を王に差し出すのもありだよね」

「お金持ちになるのもいいね」

「あの美しい腕を食べてみたら、不老不死だよ」

「ひひひ」

「・・・・・・」

後はぼそぼそと声がするだけだった。リオンは顔面蒼白だった。

―どうしてバレたの?いつから狙われてたの?私はこれからどうすれば・・・・・・

リオンはとりあえず気が付かれない様に静かに自分の部屋に向かった。

「・・・・・・」

リオンは自分の部屋に入ってドアに鍵をかけるとそのまま立ちつくし目を閉じた。

あれは誰の声?聞いたことないわ。いえ、知っている声もあったのでは?あの子たち以外の声がしたわよ・・・・・・それよりも早く逃げないと。いえ、誰かを突き止めることも大事では?そんなことしていたら、捕まって食べられてしまうわ!早く逃げないと。

―運のいい事に明日は続けて休みだわ。うるさい小鳥はラーカッティア・ヌーが付けなくなったから、良い事だわ。明日、小遣いで旅の装備品一式を買って、この街から逃げよう。もうそれしかないのよ、リオン。

リオンは震える肩を自分で抱きしめ落ち着かせた。

彼女にとって長い時が始まる―。


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