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一日ごとにデレていくツンデレちゃんのSNS日記  作者: 抑止旗ベル
1章 ツンデレちゃんはまだ他人

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20/25

10日目 ツンデレちゃんの連絡先交換(日常パート)

「お礼、何がいい?」


 休み時間にボーっとしていた俺は、突然そんな質問を投げかけられた。

 聞こえた以上返事をしないわけにもいかないので、声の主の方を向く。

 九条凛音。

 ばっちりセットされたボブが魅力的な彼女が、頬杖をついてこちらを見ている。


「なんかボケーっとしてたみたいだけど、聞こえた?」

「ああ。お礼がどうのって言ったな。……お礼って、昨日のあれ?」

「そうよ。お昼ご飯のお礼。その希望を聞いておこうかと思って」

「あー……いいよ別に。卵焼きくらい」


 あんなんでいちいちお礼が必要なら、亜桜は俺に菓子折りでも持ってこなければならない。


「なによ、私のお礼が受け取れないっていうの?」

「それは果たして本当に、誰かに感謝を伝えたい人間の態度なんだろうか」

「欲しいものとかないの? どっかのブランドの服とか」

「卵焼きの見返りにそんなもん貰えるか」


 価値が違いすぎるわ。

 昔話じゃないんだから。


「じゃあプライスレスなものがいいってこと?」

「まぁ……強いて言えばそうなるかな。できるだけお金がかかってないやつがいい」

「なるほどね。で、それはなに?」

「……ちょっと待った。お礼ってさ、自分で何をあげるか考えるものなんじゃないの?」

「けど、それで全然いらないものを貰うのって嫌でしょ?」

「まあそうだけどさ。こういうのって気持ちが大事っていうか……」

「ふむ、なるほどね。じゃあ――こういうのはどう?」


 そう言って、九条は自分のノートに何かを書き連ね、それをちぎって俺に渡す。


「これは?」

「私の連絡先。どこのお店にも売ってないプレゼントよ」

「……へぇ、自分の連絡先に価値があると思ってるんだ」

「あ、あるわよそれなりに! 1年の時は男子からめちゃくちゃ連絡先聞かれたんだから! けど結局誰とも交換してないから、私の連絡先を知ってる初めての男子になるのよ? 貴重じゃない?」

「え……そんなに頑なに拒否ってきたのに俺なんかに教えていいの?」

「いいわよ別に。ていうか、お金がかかるものは受け取れないんでしょ?」

「だからって、これ……」


 連絡先とは。

 一般常識において、自身が友好的に思わない他人においそれと教えるようなモノではない。

 つまり、このクラスにおいてカーストトップである九条凛音に、ある程度は認められた――ということだろうか。


「えっとつまり、俺は、王族でいうところの九条の家臣みたいなこと?」

「王族で言わないでくれる? そんなんじゃなくて、普通に友達」

「あぁ、友達か。了解」


 なるほど。友達。

 ということは、ひとまず今まで俺が置かれていた「嫌われている」という状況からは脱出したと見ていいかもしれない。

 俺はスマホを取り出して九条のIDを打ち込みつつ、彼女へ質問してみる。


「なぁ、九条の連絡先が書かれたこの紙、他の人に売ったらいくらになると思う?」

「そんなことしたら殺すわよ」

「……冗談だって」

「反逆罪で殺すから」

「じゃあやっぱ王族じゃん……」


 と、そんなことを言っている間に。

 俺の友だち一覧に「九条凛音」のアイコン(ピラミッドの画像)が増えた。

 ……なんだ、このアイコンのセンス。

 エジプトの女王なのか、お前。

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