表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一日ごとにデレていくツンデレちゃんのSNS日記  作者: 抑止旗ベル
1章 ツンデレちゃんはまだ他人
14/25

7日目 ツンデレちゃんイメチェン作戦(日常パート)

「で、昨日の紅白戦の時ね、私のスリーポイントシュートが9回連続で入っちゃってさぁ。もう大盛り上がり」

「ふーん……」


 昼休み。

 俺はいつものように絡んできた亜桜に対して相槌を打つ。


「すごいじゃん」

「いやいや那珂川、リアクション薄いって。『すごいじゃん』じゃないんだよ。9回連続なんだよ? スリーポイントだよ?」

「あの遠くから打って入れるやつだろ? 分かってるって」

「分かってるならなおさらその反応は薄いよー。アレ決めるの難しんだから。私だから簡単にできるんであってね?」

「ご自分で簡単って言っちゃってますけど」


 だから俺はリアクションが薄かったの。

 スポーツ漫画の主人公みたいな奴が話すエピソードなんていちいち驚いてられない。


「もー、那珂川つまんなーい」

「つまんないのになんでいっつも話しかけてくるんだ、お前は」

「良いリアクションを取ってくれない人には教えてあげなーい」


 言いつつ、亜桜は「よいしょ」と俺の机の上に腰を下ろす。


「ちょ、どこに座ってんだ」

「立って話すの疲れるんだって。那珂川は座ったままだからいいだろうけど」

「俺の机が割れたらどうする」

「そんなに重くないわっ。ていうか私さー、そのうち髪切ろうかと思ってるんだよねー」

「話をコロコロ変えるなよ……」

「那珂川ってどんな髪形の女の子が好き?」

「……聞いてないね、清々しいほどに」


 こうなると諦めてこっちも切り替えざるを得ない。

 まったく、もう。


「俺はツインテールが一番好きだな。男の夢が詰まってるイメージだし」

「あー、ズルい。物理的に私がやりづらい髪形選んでるー」


と、頬を膨らませて不満を漏らす亜桜。

ツインテールにはある程度の長さが必要なので、髪を切ろうとしている亜桜にしてみれば面倒な答えというわけだ。

 それにツインテールは運動に適した髪形でもないし。亜桜の場合はあんまり関係なさそうだけど。

いや、というかそもそも。


「別に亜桜が俺の好きな髪型にする必要はないだろ」

「ないことないよ。イメチェンしたら、那珂川が私と話す時のダルそうな態度が治るかもしれないし」

「それは外見の問題じゃない。俺は――」


と、そこで。

隣の席に座っていた九条様が――じゃなかった、九条がイスを引いて立ち上がった。

そして自らの席を指でトントンと示しながら言う。


「亜桜、ここ座っていいわよ。私しばらく戻らないから」

「えーホント? 九条ちゃんありがとー」

「いいのよ、どうぞごゆっくり」


そう言い残して、九条はスタスタと教室から出ていった。

 ……うるさかったかな。


「九条ちゃん優しいねー。あとすごい綺麗。那珂川の隣にはもったいないよ」

「んなこと言ってる場合じゃない。九条を怒らせちゃったかも」

「うん? どういうこと?」

「いやだから、俺たちがベラベラ喋ってたから出て行ったんじゃないかって」

「えー? お昼休みにジッとしてる方が珍しくない?」

「お前の場合はな。でも他の人は違うんだよ。九条は大体いつも自分の席でスマホいじってるから」

「ふーん。そんな風には見えなかったけどなぁ……あれはむしろ……まあいいや、一応あとで謝っとくよ」


 と、亜桜はなにかを言いかけてやめ、別の言葉を繋げる。

 そして。


「それよりさ、私がツインテールにして今度の公式試合に出たらどうなるのかな? やっぱ怒られる? でも面白そうじゃない? ねぇねぇ、試合見においでよ」


 彼女の話題は再び、そんな雑談に回帰してしまうのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ