屋根裏の座敷童子
本作は、『第4回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』応募作品です。
千文字以内に收めるって難しいですね。
勉強だと思って書いてみました。
さぁ、不思議な世界にご案内~♪
耕平は祖父の家が苦手だった。
田舎の古民家である祖父の家は、あちこち黒くて太い梁や柱が走り、いつ行っても薄暗かった。
極めつけは、廊下の突き当りにある木製の古い階段を上がった先にある、裸電球が一つぶら下がっただけの屋根裏部屋だ。
勿論そこはただの物置部屋だったが、怖がりの耕平にはお化けの巣窟に思えた。
そして六歳の夏。
耕平は屋根裏部屋で、赤い着物におかっぱ髪の座敷童子に出会った。
あれから二十年。
大人になった耕平に、この夏、転機が訪れた。
祖父の告別式の後、家主亡き後のこの家の管理をどうするか親族会議が開かれた結果、PC一つでどこでも仕事ができる耕平に白羽の矢が立った。
親戚一堂が帰った後、一人祖父の家に残った耕平が屋根裏部屋に上がると、大型TVを前に、ソファに寝転がってゲームをしている赤ジャージ姿の髪の長い美人がいた。
女性が振り返る。
「なんだ耕平か。久しぶり」
「お前、リンか? 座敷童子の」
女性は一言だけ挨拶すると、またすぐゲームに戻った。
モニターの中では、いかつい男性キャラがバンバン銃を撃っている。
臆病者の耕平だったが、流石に驚きよりツッコミが勝った。
「こんなときくらい、ゲームやめろよ!」
「もうちょっとで終わるから! あと五分!」
一時間後、ようやく屋根裏部屋から降りてきたリンに、耕平はお茶を淹れてやった。
美味そうに茶を飲むリンに疑問をぶつけてみる。
「お茶、飲めるんだな」
「猫舌では無いよ」
――湯呑みを持てるのは、幽霊ではなく妖怪だからか?
「それより耕平、ここに住むの? 女性が一人暮らししてる家に男性が住むってどうなのよ」
「おま、座敷童子を女性扱いするかよ」
リンは一瞬キョトンとした表情を浮かべたが、次の瞬間ニマっと笑った。
「私は幽霊と違って妖怪だから触れられるぞ? 年頃の美人を前にして理性が保つかな?」
ジャージ姿でセクシーポーズをとるリンを前に、耕平は深いため息をついた。
その頃、耕平の実家には親戚一堂が集まっていた。
「耕平、凛ちゃんと仲良くやれるかねぇ」
「案外あっさりくっつくかもよ?」
「ごめんね。うちの引きこもり、耕ちゃんに押し付けちゃって」
「従兄妹なら結婚できるし、私は大歓迎。それより耕平がまだ凛ちゃんのこと座敷童子と信じてたらどうする?」
「流石にバレたろ」
「あれ、怖がる耕平を和ませようって、亡くなった父さんのアイディアだったのよね」
居間に飾られた遺影の中で、祖父はニッコリ微笑んでいた。
如何だったでしょうか。
去年の今頃から、小説というものを書き始めました。
一年、長かったような短かったような。
まだまだ書くのは止めませんよぉ~♪