表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

第06章 チャム王国誕生


 六


「いいか、今から俺が、あの城目掛けて、リングの稲妻をぶっ放す。驚いて出て来た魔物どもを、スナイパー部隊で狙撃しろ」


 そう言うと俺は城目掛けて、渾身の稲妻をぶっ放した。


 ズガガガガガ~ン


 光の柱が空から落ちて来た、そして、物凄い音と共に、城の半分が崩壊した。


 生き残った魔物どもが、驚き城から飛び出して来た。


「よし、狙撃開始」


 狙撃隊の狙撃が返しされ、スナイパーボウガンに射抜かれた魔物たちが、次から次へと谷に落ちて行く。


 崩壊した城から、ケルベロスが走り出て来た。


「よっしゃ、サブ、行け」


 ゴーレムのサブがケルベロスに走り寄り、渾身の一撃を入れた。


「キャイ~ン、キャイ~ン、キャイン」


 サブの一撃をくらったケルベロスが、のたうち回る。


 サブにもう一撃入れさせると、ケルベロスは、その場で失神した。


「よ~し、全員、突っ込め~」


 皆が一斉に突進して行く。


「魔王を見付けたら、叫んで俺を呼べ、魔王は俺が倒す」


 この時点で、俺の頭に描いて居たものは、八割方かたが付いた。


 こちらの犠牲は1人も出て居ない。


「居ました~、魔王です~」


 兵の1人が叫んで知らせて来た。


 俺は急いで声の方に行くと、崩壊した城の瓦礫に挟まれた魔王が居た。


 コイツが魔王か・・・


 確かに強そうで悪い顔をして居る。


 しかし、瓦礫に挟まれて動けないのだ。


 勝った・・・俺は勝利を確信した。


 今、動けないコイツにもう一度、渾身の稲妻をくらわせたら、さすがの魔王もタダでは済むまい。


「お前ら、下がって置け、今からコイツに稲妻をくらわせてやるから」


 周りにいる部下たちを下がらせた。


「待ってください~、それだけはどうか、止めてください」


 動けない魔王が叫んだ。


「お願いします、許してください」


 魔王が懇願して頼んできた。


「お前、散々今まで悪さをして来たんだろうがよ、今更何言ってんだ」


「いや、お願いします。死にたくないです、助けて下さい」


 俺は動けない者を殺すことに、別に何のためらいもない。


 卑怯にも、非道にも、心は動かない男だ。


「いや、ダメだ。俺は魔王を倒すと決めて居るのだ」


「待って、じ、じゃあ魔王やめます。今から直に辞めますから。だから、もう魔王ではありません。倒す理由はないですよね、ですから、ね、ね」


「お前、恥ずかしくねぇのか?」


「ぜんぜん、ぜんぜん大丈夫よ。ですからお願いよ、命だけは助けて下さい」


 もう、なりふり構わずと言った感じだ。


「お願い、ホントお願いだから。あなたの為なら何でもするわ。だからお願いよ」


 コイツ、オカマか?じゃべり方がおかしくなってきている。


「何でもするのか?」


「するわ、今日からあなたの家来になるわ、アタイはあなたの人形よ、好きに遊んで構わない・・・」


 そこまで言うなら助けてやるか、しかしコイツ自由になった途端に暴れたりしないだろうな・・・まぁ、その瞬間、稲妻をくらわしてやるけどな。


「解った、助けてやる。お前ら、皆でこの瓦礫をどかせてやれ」


「ちょっと待って下され」


 俺の言葉を爺が止めた。


 そうか、そう言えば爺は家族共々、村を焼かれたのだった。


 それを考えると、やっぱダメだな。


「やっぱ辞めた、お前がやった事はひどすぎるぜ。この爺の村も、お前が全滅させたんだからな。もう、往生しろや」


「ち、違うは、アタイはそんなは事しない。ひ、東の魔王の仕業よ。アイツちょいちょいアタイの領置に悪さするのよ。ホントよ、アタイが怒るのを面白がってそんな事するのよぉ、お願いよ、信じてよ・・・」


 俺が爺の方を向くと、爺は頷いた。


 爺は信じてやるようだ。


 そう言う事なら、俺も信じてやるか。


 もう一度、兵たちに瓦礫をどけてやる様に命じた。


「ありがとう、アタイはドズル。あなたの人形よ。あなたの為なら踊りだって踊るわ。そう、アタイはダンシングドールよ、フフフ」


 なんだコイツ、急に饒舌に成りやがって、調子がいいなぁ。


 まぁ、結果オーライだ。


 西の魔王の地位とその家来どもも、俺の配下に着いたと言う事だ。

 

 此方の被害は殆んどないが、ドズルの方の被害は大きかった。


 ドズルの兵は半分に減って居たが、それは仕方ない、コイツだって散々悪さはして来て居るのだから。


 さてと、後は城のことだが・・・


 ピアザ王との交渉には、ドズルとサブに行かせた。


 俺が直接行っても良かったが、なんか弱い者いじめの様な気がしてな・・・


 サブの話しだと、ピアザ王は快く承諾してくれたらしい。


 ドズルの城の宝物を全部さらって、ピアザ城に入城した。


 夢にまで見た城住まい、サイコーだ。


 ヒュウイたち二百の兵は、このまま俺に付いて来ると言う。


 どうでも良いのだが、コウシンも付いて来た。


 ドズルの配下、五十の魔物も付いて来た。


 ケルベロスは、俺が餌をやって居たら、なついて来た、まるでワン公みたいで可愛いものだ。


 ピアザ国はチャム王国と名前が変わった。


 そして、そこを拠点にして俺は西の魔王を名乗ることを、世界に宣言した。


 チャム王国は、来るものは拒まず、争いは許さずの体制をとり、人間と魔物が共存する初の王国となり、前ピアザ国の時よりも、人口は四倍になり、西の地域一の大きな国に成った。


 西の地域の首都となり、貿易も盛んにすることにして、この時はコウシンが初めて俺の役に立った。


 ゴンタの兄も、チャム王国に幾つもの支店を置き、ゴンタと共に、随分と設けているらしい。


 精霊女王のラフレシアも、俺の軍門に下って来た。


 チャム王国に別荘を建て、優雅な暮らしをして居る。


 爺ドルモアは、チャム王国に剣術の道場を開き、チャム家剣術指南役の地位につけてやった。


 爺の諜報部隊も、爺から独立して、一機関として大きくなり活動している。


 チャム王国のCIAだ。


 ヒュウイはチャム王国の秩序を守る位置につけてやった。


 警察庁長官みたいな者だ。


 リリィもスナイパー学校を開き、手広くやって居る。


 口うるさいだけあって、人に教えるのが好きなのだろう、フェアリーも沢山増えて居たので、チャム王国に住むフェアリーは、リリィの学校に入るのが必須条件になって居る。


 ドズルには、参謀長官の地位を与えてあるが、裏でこっそりと、飲み屋街から、みかじめを取ったり、カジノを経営したりして、手広くやって居るが、これは、俺は黙認しているのだ。


 しかし、ヒュウイが今度法の下摘発するのだと息巻いていた。


 ピアザ国も、元のドズル城を修復して、それなりの国に成って居る。


 貿易で多額の資金を得て居る、我がチャム王国から支援金を出してやったのだ。


 他の魔王たちは、急速に発展して行く西の地域をどの様な眼で観て居るのだろうか?


 今の所、なんの干渉もない。


 四年に一度、魔王会議なるものが開かれるらしいので、その時に、ドズルを連れて参加して見る積もりだ。


 その時の雰囲気で、戦争に成るのか、共存の道を選ぶのか、決める積もりだ。


 元々考えるのが苦手な俺なので、出たとこ勝負で行くつもりだ。


 他の魔王に遠慮するつもりもない。


 可愛い女の子のフェアリーでも、今では俺も魔王なのだから・・・




             第一部  了



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ