エピローグ
痛む身体を引きずりながら歩く。
どうやら、今回は、本当に死にかけたらしい。
「勇気~」
自分を呼ぶ声に僕は後ろを振り向く。
美しい幼馴染が手を振りながら追いかけてくる。
「胡桃? なんで? ここに?」
「試合を見てたのよ。勇気、貴方、マーベラスでしょ?」
「え? 知ってたの?」
「そりゃ、分かるわよ。だって、勇気。目元しか隠して無いじゃない」
思わず、僕は笑ってしまった。
そんな事にも気が付かない位に必至だったらしい。
彼女は、一頻り笑うと、少し駆けた後に此方を振り向く。
「さ、帰ろう」
彼女は、夜景を背に美しい笑みを浮かべる。
言うなれば、女神のような微笑と言うのだろう。
「うん」
僕は、笑い返すと彼女の手を握る。
彼女は、足を止めると、顔を紅潮させる。
「ずっと、二人でこうしていたいね」
「うん、そうだね」
「じゃぁ、もう、リングには上がらないでね」
彼女は、満足そうに微笑むと、また、歩き出す。
きっと、彼女は僕の事が好きなのだろう。
でも、僕は彼女の思いに答えることは出来ない。
だって、僕は。
男性が、好きだから。
何処かの、読みきり漫画原作募集で書いた作品です。
あまり人に読まれなかったので、掲載してみました。
漫画にしてくれる方いませんかね~。