05
「さぁ! 始まりました。本日2本目の乱入戦」
実況の千田は、興奮で顔を真っ赤にさせる。
「次の対戦カードは、華麗な技で敵を仕留める。マスク・ド・マーベラスVS現代のジャック・ザ・リッパー。マスク・ド・ジェントルの組み合わせとなります」
カーン!
ゴングが鳴り響き、試合が開始される。
マーベラスは、バク転をしながらロープを利用して、ドロップキックを放つ。
しかし、その攻撃は、ジェントルの傍を通り過ぎるのみだった。
「どうしました? ファントム。これでは、ジャスティスと変わりませんね」
「僕は、ファントムなんて名前では、ない!」
マーベラスは、闇雲に両の手を振り回す。
「君のマスク、細工を施してはいるが、ブシドーの物だろう? だから、我々は、君を亡霊と呼ぶのさ」
ジェントルは、余裕の笑みを漏らしながら微動だにせずに立つ。
ビリィ!
しかし、彼は、次の瞬間に顔を顰めた。
マーベラスの闇雲に振られた腕の一つが、彼の痛んだコスチュームを破いたのだ。
「紳士の服を破くとは、万死に値しますよ!」
激昂した、ジェントルの猛攻が始まる。
「おっと!此処で、ジェントルの猛攻、マーベラス、たまらずに膝をついた~」
ジェントルは、顔を紅潮させてマーベラスを殴り続ける。
「一つのマスクに適合する人間は、たった一人。知ってますよ、貴方。超常を持っていませんね?」
更に速度を上げた攻撃が降り注ぐ、最早、何度殴れたかも分からなくなった頃、マーベラスは遂に倒れた。
「マーベラス、遂にダウンした~! 果たして、立ち上がることは出来るのか~」