最悪の展開
迷子の女の子を母親に届けて、カオルは仕事へと店に向かっていた。
が、また魔法少女の姿になっていた。
女の子を怯えさせてしまったので、カオルはもう一度、魔法少女となり、少しばかり魔法を見せてあげたのだ。
女の子は大きく見開いた目をキラキラとさせて、食い入るように魔法を見ていた。
魔法のおかげで、女の子の恐怖心は吹き飛んだようだった。
母親を探す時もずっと楽しそうに喋りっぱなしで、母親を見付けて別れる時は、満面の笑みで手を振ってくれた。
一応、魔法のことは内緒にしてねと女の子と約束はしておいたが、どこまで喋らずにいられるか……。
まあ、子供の言うことを真に受ける大人はいないだろう。
「それにしても……」
カオルは隣を歩くヴィーゼルを見る。
「お前やっぱりシュテルン石を探していなかったな。実体化間近のシュテルン石がこんな近くにあったんだから、シュテルン石をちゃんと探していたら、探知機に引っかかっていたはずだろ」
「まあまあ。回収出来たのですからいいじゃないですか。終わり良ければすべて良しです」
「さぼっていたお前がそれを言うな」
今までのシュテルン石は全て実体化している。
シュテルン石をすぐに見つけていれば、実体化前に拾うことも出来たはずで、シュテルン石の回収も、もっと早く終わっていただろう。
そうなれば、この魔法少女ともさっさとおさらばしていたし、さらには実体化したシュテルン石と戦って、あんな酷い目に遭うこともなかった
「ヴィーゼル、ちょっと探知機を起動してみろ」
変身が解けるまで、まだ時間がある。
実体化していないシュテルン石の回収なら、時間はかからないはずだ。
シュテルン石が見付かれば、今日中に苦痛の日々を終わらせることが出来る。
「はいはい」
ヴィーゼルはリュックから探知機を取り出す。そして、電源を入れた。
「おっと、これはこれは……」
探知機の画面には赤い点滅が出ていた。
「おい、ヴィーゼル。反応が出ているじゃないか」
「しかも、実体化まであと少しのようです。これはまずいですね……」
「場所はどこだ?」
実体化する前に回収してしまいたい。
「この方角は……」
ヴィーゼルは反応のある方を見上げる。
「場所はフルスイーツ。カオルさんの仕事場です」
「何だと?」
残りの一つが店に出現するなんて、カオルは思いもよらなかった。
店には桃子とオーナーがいる。
二人に何かあったらと考えて、カオルはゾッとした。
「すぐ店に行こう。桃子さんとオーナーが危ない!」
カオルは店に向かって走り出した。
シュテルン石が実体化しないことを祈りながら。




