ended up?
僕の物語は多分、ここから始まる。
灰色一色の僕の十数年間はプロローグのようなものなのだろう。
僕の人生の主人公はいつまでも、ひよりだったのだから。
ようやく僕が僕として、僕の人生を歩み始めた。
そんな気がする。いや、多分そうだ。
ひよりが生きていたら100日目になる朝、明るくなり始めた空を見て、僕は生まれて初めて"晴れたらいいな"と思った。
病院の窓から明るくなり彩られてゆく街を見て、初めて綺麗だと心から思った。
昨日と何も変わらない街で、昨日とそれほど変わらない空なのだろうけれど…
変わったのは、きっと僕自身だ。
手紙を取り出したもう一度見る。気になるのは追伸の
"多分今が"いざっ!"て時だよ。【あの手紙】開けちゃっていいよ"
この部分。あの手紙ってなんの事だろう?
しばらく思い出そうと頭を捻る。
お守りの中の紙?それともまだ隠し手紙があるのかな?
うーん…いざっ!て時か。
なんだろうな、いざって時に開ける手紙って。
退院する時、"全く…"の医者が丁寧に何かを説明してくれていたが僕の耳には全く入ってこなかった。
頭の中はその手紙のことでいっぱいで耳からの言葉なんて入る余地も無かった。
家に帰り、一息ついて僕はようやく思い出した。
「ああ、これか!」
机の上に置かれた1枚の封筒。表紙には【合図してないのに開けて許すのはここまで】と書かれている。
随分と前の事だったからすっかり忘れてしまっていた。病院の時とは違いゆっくりと丁寧に開ける。
中にははがきサイズの紙が1枚だけ入っていた。
【これでおしまい、おやすみなさい】




