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忘れ物

「やっぱり俺眠いしもっかい寝るわー10時になったら起こしてー」


そう言うと日吉は大きなあくびをして、僕が寝るはずのベッドに潜り込んだ。

全く…どれだけ自由人なんだこいつは。


日吉が呑気にいびきをかき始めた辺りで、徒花さんが再び口を開いた。


「色取くん、ちょっといいかな」


そう言うや否や僕の手を取り、僕を外に連れ出した。

なんだか出たり入ったり忙しいな…


「え…と、どうしたの?徒花さん」


「あのね、私ひよりが亡くなる前にお願いがあるから色取くんに伝えてって言われてたの」


「お願い?」


「うん、でもそれは私知らないんだ」


うん?話の筋が見えてこない。

伝えて欲しいと言ったけれど、徒花さんは知らない?徒花さんは知らない事をどうやって伝えるんだ?


「あ、つまり僕が自分で見つけないといけないって事か」


こくりと徒花さんは頷いた。


僕は腕を組み考える。


彼女が僕に、お願いしたい事。

こういう場合、いつも僕ならどうするかと考える。もしも僕が死ぬとわかっていたら彼女に何を伝えるだろう?大好きだ、死にたくない、君には死んで欲しくない。この辺りのような気がするけれど、どれもしっくり来ない。


「もう私から言うことは何も無いから、それじゃあね色取くん、また明日学校でね!」


「…ゑ?」


い、言うことは何も無い?


いや、だけどやるべき事が分かった。こんな回りくどいやり方をするって事は必ず何か考えがあるはずだ。



僕は考えなくてはならない、彼女が伝えたかった事を。


そのメッセージを。

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