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現実的な夢
「ねえ雫、想い出って何だと思う?」
「記憶じゃないの?」
彼女は僕がそう答えるだろうと思っていたのか、僕が答えるや否や"50点!"と言った。ちょっと悔しい。
「…残りの50点は?」
と聞くと彼女は方目を瞑って得意げに答えた。
「ふふふ、本当は教えたくないけど時間が無いから教えてあげる。想い出ってのは記憶と願いだよ」
「願い…」
「そう、願い。記憶は時間経過で消えちゃうけれど忘れたくない、忘れてはいけないって願いで、記憶は想い出になるの」
彼女は続ける。
「もしも雫にその気があるならなんだけどさ、私への弔いだと思って、向き合って欲しいんだ」
彼女は僕の手を取り、僕を見つめてこう言った。
「私達の過去と、そして雫の未来に」
力強く、頷けばよかったのかもしれないけれど
僕は答えられなかった。
「もー、なんで雫が泣くのー?別に悲しいことじゃないんだから笑って笑って?」
そう言って笑顔を見せた彼女の目からも涙が零れた。
「考え込むのは悪い事じゃないけど、抱え込むのは良くないよ。もしもの時はひーちゃんや日吉くん、皆を頼って」
僕はその手をいつまでも握っていたかった。
けれど、嫌でも朝はやってくる。




