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零れ話

ふと昔の事を思い出してみると、自分の記憶というものは、案外いい加減なのだと気付かされる。


昨日の晩ご飯は覚えていないし、一昨日の晩ご飯は食べたかすらも怪しい。そんな僕の記憶力でも忘れられない(おも)い出というものがある。


今でも鮮明に覚えているのはたった数十日の事。まるで映画でも見ているかの如く彩り鮮やかに、あの日々は昨日の事のように、いや昨日の事よりもはっきりと思い出せる。


きっとそれを青春と、そう呼ぶのだろう。


青くもないし、春でもない。

たとえそれが灰色の秋だったとしても紛れもなく僕の青春だ。

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