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決戦、そして勝利

 目の前に現れた砦の弱点を睨みつけ、フェルは配下に指示を出す。


「ガルウ!(よし、この壁を掘りまくって奴らの砦に侵攻だ。本気で掘れ!)」

「ガウ!(まかしてください!)」


 フェルはこれから訪れる決戦の為、体力を温存し配下を見届けていた。

 

 *

 

 まずい、まずい!

 オオカミが防御壁の下の地面を掘り始めた。

 防御壁が全く役に立っていない。

 まさか、防御壁の下の岩交じりの硬い地面を掘って敵が襲ってくるなんて考えてもいなかった。

 地下から襲ってくる対策なんて全くとってないし、取る方法もない。

 あえて対策があるとすれば地面に鉄板を敷き詰めて穴が貫通するのを阻止するぐらいだけど、どこからやってくるかわからない敵に対して島の頂上全体に鉄板を敷き詰めるのは現実的じゃない。

 僕は弱音を吐く。


「どうしよう? 防御壁さえあれば敵が来ないと思っていたんだけど、まさか地下から襲ってくるなんて……。どうすればいいんだ?」

「ど、どうしましょう?」

「どうにもならないのです」


 僕たちみんな、想定外の事態が起きて動揺しまくっていた。

 その中で冷静な仲間がいた。

 スライムさんだ。

 スライムさんは対策を考えた。


「ぴきー!(獣なら火を恐れるはずです。穴が貫通する直前に焚き火を積んでしまいましょう)」

「それいいね」

「獣じゃなくても頭の上に焚き火を置かれたらビックリです」


 ビックリどころか大やけどだけどね。


 ということでスライムさんのアイデアを採用し、対策に移る。

 材木を細かく切り刻み薪にして準備完了。

 地上に穴が貫通するのを待った。

 地面を見つめていたユグが声をあげる。


「そこの地面が盛り上がったのです!」

「そこか!」


 僕たちは穴が開く前に薪を積み、火を放つ。

 薪は轟々と音を立て燃え盛る。


 ボコっ!


 そして穴が貫通した。

 穴の中に燃え盛る薪がなだれ込む。

 そして上がる悲鳴。


「キャンキャン!(なんだこりゃー!)」

「キャン!(熱いっす!)」

「キャンキャン!(あちあち!)」


 やけどを負ったオオカミたちは慌てて海の方へと消えていった。

 どうにか、オオカミを撃退で出来た僕たち。

 間一髪だった。


「勝ったな」

「はい、勝ちました!」

「狼の群れを撃退するなんて、すごいのです!」

「ぴきー!(オオカミにかてました!)」


 やけどに懲りてオオカミたちは二度と襲ってくることは無いだろう。

 僕らはこの戦いに勝利を得た。


「これでオオカミたちは島の頂上に近づいてくることは無くなったな。僕たちの勝ちだ」

「ガルウ!(それはどうかな? まだ戦いは終わっていない)」

「えっ?」


 振り返ると僕の後ろには撃退したはずのフェンリルが立っていた。

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